エフライの感想記

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総評《Hugっと!プリキュア》15作品目の記念作!

HUGっと!プリキュア ボーカルベスト

 

輝く未来を抱きしめて

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いや〜。終わっちゃいましたね。『Hugっとプリキュア』。個人的にプリキュア復帰作だったので毎週毎週楽しみに視聴していました。15周年記念作品としてのプレッシャーがあったと思いますが、それを見事に跳ね除ける完成度の高い作品だったと思います。勿論、まだ春映画が残っており、完全終了ではないのですが、本編が終わったので一先ずの区切りとして、作品の総評を纏めたいと思います。

 

 

モチーフ

 

今回のモチーフは"お母さん"でした。前作の『アラモード』がお菓子やパティシエをモチーフにしており、意図的に各キュアの見た目をバラバラにする等ある意味実践的な試みをしていましたが、今作も保守的になるのではなく、色々と挑戦していました。

その代表的なのがプリキュアがお母さんになるという事でしょう。今まで、妖精のお世話として赤ちゃんのお世話を擬似的にしていたプリキュアですが、人間の赤ちゃんをお世話というのはシリーズ初めてでした(多分)。それは変身後にも現れており、はなの前髪以外大人らしい見た目に変身していました。身長の差というのもありますが、ホイップと比べると違いが分かると思います。

 

 

プリキュア等のキャラ

 

主役は、野々はな。「めちょっく」という言葉を開発したようにおっちょこちょいさんですが、仲間の事、特にはぐたんの事になると熱くなり、変身した後の頼もしさは異常でしたね。ジョージとの最終決戦の時の変身シーンは滅茶苦茶カッコ良かったです。

過去にイジメがあったとはとても思えない活躍っぷりは嬉しさ満点でした。あの髪型も何だかんだで似合ってましたもんね。

 

 

学級委員長で青キュア枠の薬師寺さあや。機械オタクでもあり、ルールーが来るまで頭脳担当でした。プリキュアが5人になってからも比較的精神安定剤的な役割を担っていました。

ハリーに対するほまれの思いを見抜いたりと隙間隙間での活躍が光りましたね。女優の母を持ちながら腐る事なく役者を目指していた彼女も素敵でしたし、その後、医師になると母親に告白したシーンが印象に残っています。因みに、自分の一推しキャラです笑

 

 

一時は不良とも勘違いされましたが、実は情に熱い、輝木ほまれ。"力のプリキュア"か?と言われれば正直疑問ですが、ワープスターアタック等バトルでカッコ良い戦闘シーンが多くありました。

でも、やっぱりほまれ関連で1番印象に残っているのはハリー関連ですね。まさか告白イベが待っているとは思っていませんでした。あの上杉達也を彷彿とさせる告白形式は痺れました。それと、それに伴うビシンとの戦いも印象深いです。

というか、初変身からずっと何かしらインパクトを残していましたね、ほまれ。多分スタッフのお気に入りだったのかなぁ笑

 

 

第4のプリキュア、愛咲えみる。はなの妹、ことりと同級生の珍しい小学生プリキュアでした。

プリキュアに憧れるゲストキャラかと思いきやトントン拍子でマジもんのプリキュアに昇格しました。

「ギュイーンとソウルがシャウトするのです!」という掛け声はえみるの気合が入る時(例えば祖父との和解)に使われていてとても印象に残っています。

 

第5のプリキュアはアンドロイドのルールー。光堕ちの戦士でした。敵の時はアンドロイドらしいクールな感じでしたが、光堕ちしてから食いしん坊キャラが定着していました笑

さあややほまれとはまた違うお姉さんキャラでした。

 

そして、この2人は「2人でプリキュア」という初代等に見られた要素が入っており、片方だけでは変身できないシステムになっています。マシェリ・アムール初変身の時のシーンも印象深いなぁ…

その他、「あなたを愛し、私を愛する」といったセリフは月並みですが、良いセリフだなぁと思いました。

 

 

敵キャラについて

 

この作品は敵キャラも魅力的でした。どこかで見た事あるような敵やお茶目な敵等憎めない人が多かったです。準最終決戦でチャラリート等の浄化済みの幹部が集まった時はテンションマックスになりました。

 

ラスボスのジョージ含め徹底的に倒した敵がいなかったのが個人的に意外でした。全員、未来で幸せになっていると良いなぁ。

 

 

扱った様々な問題

 

このプリキュアは色々な社会問題に挑戦した作品でした。「女の子だって暴れたい!」というキャッチコピーを基に始まったプリキュアシリーズでしたが、「女の子"だって"」なら別に男の子を出してもセーフじゃね?というモタスポ的解釈(違う)で本格的に男のプリキュアを出して来たのにはビックリしました。まぁ最終的にはハピネスチャージも驚く全国民プリキュア化をしましたが。

今までゴリラを始めとするプリキュア…とは言えないけどそれに近い戦士は沢山出て来ましたが、本格的に名前付きの男のプリキュアが出るとは遂にここまで来たのか…!と感じました。

 

その他にはツインラブギターの「可愛いは正義 ノーノーサンキュー?」という歌詞だったり、えみるを縛り付けられ兄や祖父との対立そして和解等様々な問題に向かって答えを提示したという道徳的な要素がありました。

日曜朝、しかも子供向け番組から帝王切開は失敗のお産と考える母親が出てくるなんて思わなかったぞ…

 

 

疑問点

 

この作品は、時間物として、そして様々な社会問題を扱った道徳的な作品として非常に完成度の高い作品だと個人的に思っています。

ただ、その難しい事に挑戦したツケなのか、理解不能(ルールー風)といいますか、「え!?ちょっとどういう事!?」と思う事があったのも事実です。

 

細かい矛盾等は1年モノとして仕方ないと思いますが、やっぱり気になったのはタイムパラドックス関連です。

今回の敵、クライアス社は不幸な世界となった未来から過去を変えるために飛んで来ました。

そんな彼らと戦い、時には和解して時間を止めるという野望を食い止めたプリキュア達。よーし、これで世界は平和になったぞ!

そして時が流れて2030年。さあや(と5分おじさん)は産婦人科医になり、ほまれは金メダリスト。えみるはアイドルになり、はなは"はぐみ"という娘を産みお母さんになる。幸せな未来やったぜ!

 

 

…っておいおいおい!

確かにクライアス社は崩壊し、ハリーやはぐたん、元社員たちは未来に帰ったけど、このままじゃあ、またクライアス社が爆誕するじゃないか!!

 

いや、まぁ子供向け番組にそんな野暮なツッコミをするなや!とかアスパワワで浄化されたからセーフとかそういう反論も分かりますよ?

でも、はぐたん(はぐみ)やルールーが産まれた(しかもトラウム製)っていう未来が変わらなかったというのは嬉しいようで、でも少し複雑な感じがします。

クライアス社が生まれるこれまでの正史だった未来では、そろそろハリーたちのような喋れるハムスターが人間界を斡旋し、はなに何らかのアクシデントが起こる筈ですが、エール達が活躍した後の未来ではどうなるんでしょうか。もし仮にクライアス社が出現しない世界に未来が変わったとするならば、良くある時間物だと、あの感動的な別れのシーンの後、ハリー達は消滅したという悲惨な事になります。

まさかそんな事にはなっていないと思いますが、あんな希望に満ちている終わり方をした直ぐ後に、はなの身に何かあってそれに過剰反応したジョージがまた過去に遡り時間を止めようと…といった永遠ループに陥るのも癪ですし一体どういう事でしょう…

 

『ジオウ』でいう白ウォズと黒ウォズ的な事が起こって白ウォズが勝って未来を捻じ曲げる事に成功した!という事なんでしょうか。でもそれだとハリーやはぐたんが救われませんし…うーん時間物は話がややこしくなる…

 

 

まとめ

 

とまぁ疑問はところというか、矛盾だろコレェ!と思うところは確かにありますが、このご時世に男のプリキュアに代表される挑戦をしつつ、モフルンやエコーも入れたオールスターをTVで敢行。初代や先輩キュアを匂わすセリフ(「ワクワクもんだにゃ〜」とか「キュアップラパパ」とか)等のファンサービスも入れて、更に複雑な本筋もキッチリ纏めるといったことを見事終わらせたのは素直に凄いと思います。まぁ伝えたいメッセージを詰め込みすぎとも思えますが。

 

こんな挑戦とファンサービスを盛りに盛り込んだ作品の後は大変だろうなぁと1ファンながら心配しちゃいますね笑

でも、プリキュアのスタッフ達ならきっと次作の『スター☆トゥインクルプリキュア』も"キラヤバ!"な作品に仕立て上げてくださると思います!

 

次のメモリアル、20作品やその先に向けて、まだまだ加速し続けて欲しいですね、プリキュア!