周回遅れのオコンがラップリーダーのフェルスタッペンと接触し、ハミルトンが優勝を掻っ攫ったレースから早1年。今年もブラジルにF1が帰ってきました。決勝2時スタートという日本からだと1番リアタイ視聴がし辛いラウンドですが、毎回何かが起こり、決して単調なレースにならない事から無理をしてでも見ようとするんですよね。
そんなブラジルGP。このレースはホンダにとって気合の入れようが違うレースだったと思います。
今年、2019年はホンダと共に伝説を作った、"音速の貴公子"ことアイルトン・セナの没後25年となる記念年。そして決勝日の11/17はホンダの創設者、本田宗一郎氏の誕生日。神様のイタズラなのか、何なのか。これ以上にない程、ホンダへのビクトリーロードが引かれていましたね。
そんなある種のプレッシャーを背負った若きホンダのエース、マックス・フェルスタッペン。
後半戦に入ってからは精彩を欠いていた彼ですが、高地でも出力が落ちないPUの特性も相まって、今回、通算2度目のPPを獲得しました。70秒未満のコースで2位のベッテルにコンマ1の差をつけれたのはフェルスタッペンとホンダ、両方の進化を垣間見れた気がします。
ホンダ(レッドブル)、そしてメルセデスからグレーゾーンの明確化を求められ、その後フェルスタッペンのインチキ発言(意訳)からゴタゴタがあったフェラーリは2位と4位。ここでぶっちぎりの1-2を獲れていたらまだしも、最高速が伸びずに後塵を拝したのはちょっとカッコ悪い。しかし、それは決勝の前触れだったのかな?と全てが終わった今なら考えてしまいますよね…笑
迎えた決勝。
PPを獲得し、マシン的にも有利だと見られているフェルスタッペン。3位から「今回はアグレッシブに行く」と明言し、やる気全開の王者ハミルトン。ベッテルには申し訳ないですが、今年もこの2人の優勝争いが見られるのかなぁとスタート前は予想していました。
そしてその予想は大当たり。
スタートでベッテルを抜いたハミルトンはフェルスタッペンとの最速マッチレースを展開していました。
いつ仕掛けるのか。いつピットに入るのか。仮に入ったとしてタイヤはミディアム?ハード?1ストップ?2ストップ?
と気が抜けない展開の中、先にピットに入ったのはハミルトンでした。履いたタイヤはまさかのソフト。驚きの戦略でしたが、何としてでもアンダーカットをしたかったのでしょう。1周後に入ったフェルスタッペン。クビサの邪魔もあり、一度はハミルトンに前を譲りますが、直ぐさま抜き返したのはお見事の一言でした。もうこの時点で、余程のことがない限り、彼の優勝は決まったようなものでした。
そんな優勝争いの後ろ。
ここ最近調子が良かったボッタスのマシンが悲鳴を上げました。昨年のオーストリア以来のメルセデスワークスチームのトラブル。やはりPU等の寿命が原因だったのでしょうか。このボッタスのマシンを片付けるために導入されたSCがまた一つのドラマを生みました。
ピットに入る者、入らない者。優勝争い、入賞争い関係なく、順位とタイヤ状況がシャッフルされ、第2ラウンドの幕開けを今か今かと待ち望んでいました。
迎えたグリーンフラッグ。ここで魅せたのは何と言ってもアルボンでしょう。今年F1デビューし、夏休み明けからトップチームのレッドブルに移籍した彼が、リスタート後すぐにベッテルを交わしました。3強相手に、中団勢と同じように仕掛けられる彼の度胸の強さに脱帽なのと、レッドブル1-2フィニッシュが現実的になってきた瞬間でした。
そんな中待っていたのは再びのSC。
原因はまさかのフェラーリの同士討ちでした。
まるで10年のトルコGPのようなクラッシュ。負けん気が強く、決して引く事をしないドライバーと、その2人を上手く扱えないチームが招いた最悪の事態でした。いつかはするだろうと誰もが思っていたこのインシデントでしたが、やっぱり現実に起こると来るものがあります…
2度目のSCラン。
フェルスタッペン-アルボン-ガスリーというホンダPU表彰台独占も見えた事。明らかにデブリがあり、18年アゼルバイジャンのボッタスが頭をよぎった事からこのまま終わってくれ…!と祈った人は多いと思います。しかし現実は無情。ボッタスの時より明らかに迅速にSCは解除されました。
ガスリーがハミルトンにあっさり抜かれたのは仕方ないとして、レッドブル1-2を期待したホンダファン。そんな期待を再び悪夢が襲います。15年ロシアのライコネンとボッタスのインシデントを彷彿とさせるハミルトンの、アルボンに対する魚雷アタック。その結果、アルボンは最後尾に後退し、レッドブル1-2の牙城は崩れました。
フェラーリの同士討ちに続き、朝に近い深夜で2度目の叫びをしたのは自分だけじゃないはず。その接触の影響か、少し減速したハミルトンの隙をついたのはガスリー。奇跡のガスリー2位か。それともハミルトンが大逆転の2位か。
トップ快走のフェルスタッペンの事より、ガスリーを応援した人は間違いなく多かったと思います。
最終ラップの最終コーナー。08年の再現が如くガスリーを狙ったハミルトンでしたが、ホンダPUの翼を授かったガスリーは鼻っ面の差でハミルトンを押さえ込みました。レース後、ハミルトンにペナルティが下り、意味がなかったっちゃ意味がなかったバトルでしたが、シンデレラストーリーから外れたガスリーの意地をこれでもかっ!という程見る事が出来てとても嬉しかったです。特に前半戦の悲惨さを見ていると、ね。
クルマを降りた後、揉みくちゃにされるガスリーを見て、思わず涙が出てしまいました。GP2のタイトルを獲り、SFで1年、日本修行をし、満を辞して乗り込んだF1。デビューから順風満帆のように見えたレース人生に落とされた特大爆弾。そこから腐らずに走り続けたガスリーだからこそなし得た偉業だと思います。
今回で4戦連続Q3進出。そして決勝ではベストオブザレストポジションをキープ。と中団勢の中でピカイチだったガスリー。これからの活躍をもっともっと見たい、と思わされるレースでしたね。
色々とメモリアルな日に、ホンダが1-2フィニッシュ。ドイツに続き、レッドブルが2台乗れていないのは残念ですが、この結果は本田宗一郎氏やセナも喜んでいる事でしょう。
話をガスリー以外の中団勢に移しましょう。
今回、1ストップを決め、自身初の表彰台を獲得したのはマクラーレンのサインツ。ペナルティの関係で表彰式へは参加出来なかったので、チームが独自にセレモニーを開いていましたね。
ちょっといつもより影が薄めのマクラーレンでしたが、SCでジャンプアップすると、SC明けはアルファロメオからの猛攻を凌ぐ、粘りのレースをしていたのが印象的です。ノリスも1ストップを選択していたら…と思いますが、あくまでも結果論。今回見事1ストップを決めたサインツに拍手ですね!
ガスリーとサインツに話題を奪われましたが、堅実なレースをし、4-5で入賞したのはアルファロメオも凄いと思います。
ライコネンがQ3へ行った時は今回もズルズル落ちるレースかな…と悲観的でしたが、レースペースは素晴らしく、ガスリーの後ろをついて行ってましたね。ジョビナッツィは予選の失敗を払拭するようなスタートを決めた後、安定したペースを刻み、ライコネンの後ろをピッタリとくっついていました。
表彰台に乗れなかったのは残念でしたが、これまでの停滞とは?と感じさせる強いレースを魅せてくれて大満足です。これでランキングはハースを突き放しましたし、良い事づくめで本当に嬉しいですね。
フェルスタッペン3勝目。
ボッタス、フェラーリ2台リタイア。
ガスリーとサインツ表彰台。
アルファロメオ4-5位。
序盤でノーズ壊したリカルドが6位。
王者ハミルトンが7位。
最遅マシンのラッセルが12位。
とフェルスタッペン以外は「嘘だろ!?」と思いたくなる結果となったブラジルGP。寝落ちするかな…と危惧していましたが、全然そんな事なかったですね笑。本当に面白いレースで、リアタイで見られて良かったと思います。眠いですが笑。
さて、次戦は最終戦アブダビ。
ルノーとトロロッソの5位争い。サインツ、ガスリー、アルボンの6位争い。とランキングが気になる所があるので、そこのバトルが楽しみですね〜
また、最後なので今回以上に攻めてくるドライバーが多発しそうですし、抜けないコースですが、面白いレースが見られそうで楽しみです。そして、アメリカ大陸から脱出する事で普通の時間帯で見られるのが何よりも嬉しい笑。
有終の美は誰が飾るのか。とても気になるなぁ〜