来る者がいれば、去る者がいる。
それは、どの世界でも同じですが、TV等で目につく、スポーツ界では特に顕著ですよね。少し前に、昨年限りでF1を去ることとなったアロンソの記事を書きましたが、今年も2人のドライバーがF1を去ります。
1人はロバート・クビサ。
初のポーランド人F1ドライバーで、優勝経験もある、間違いなくタイトルを争えた逸材でした。
2人目はニコ・ヒュルケンベルグ。
F1王国のドイツ出身で、シューマッハやベッテルに次ぐチャンピオン候補としてF1にステップアップしてきたドライバーです。
今年は、そんな2人に対する1ファンとしての思いを綴っていこうと思います。
先ずはクビサ。
06年シーズンの途中からF1ドライバーとして昇格してきた彼は、初年度にいきなり表彰台を獲得しましたよね。とても驚いた記憶。07年シーズンは、いつも優勝争いをしているフェラーリやマクラーレンの真後ろを走っていた印象です。カナダでの大クラッシュを見た時は正直、もうダメだと思いました。あのクラッシュ、今では特段何の気持ちも湧かずに見る事が出来ますが、当時はマジで逝ったと思ったのを覚えています。
しかし、彼は帰ってきました。そして翌年の08年、大クラッシュをしたカナダで初優勝を果たしましたね。ライコネンファンなので、あのピットレーン出口で、ハミルトン(とロズベルグ)がライコネンじゃなく、クビサに追突しとけば、ライコネンが勝ったのでは…と子供ながらに思っていました。懐かしい。
その後BMWから離れてルノーに移籍したクビサ。モナコ等の市街地で無類の強さを発揮していたのを覚えています。早くチャンピオン争い出来るチームに上がってこないかな~なんてワクワクしていましたね。やっぱりモナコが速いと凄いという認識がありますから。
そんな時に知らされたラリーでのクラッシュ。そして11年シーズンの不参加。正直悲しかったです。もうF1で彼の鋭い走りが見られないなんて。
だからこそ、昨年テストで現行車を走り、そして今年、レギュラードライバーとして復帰すると知った時は滅茶苦茶嬉しかったです。勿論、当時のような活躍は期待出来ないという事は分かっています。ブランクもありますし、右手のハンデもありますからね。でも、それでも、当時子供ながらに見惚れた、あのイケメンドライバーが、泥臭く足掻きながらも、F1に帰ってきたのが本当に嬉しかったし、それだけで満足するものがありました。
所属したウィリアムズは、ミナルディやHRTを彷彿とさせるようなテールエンダーが定位置のチームで、思うような活躍は出来ませんでした。対チームメイトで見ても、昨年のF2チャンピオン、ラッセルの後塵を拝するのがお決まりで、予選では全敗を喫しました。ですが、そんな中で、荒れまくった第11戦のドイツGPにて10位入賞を果たしたのは流石だなと思いました。ルクレールやボッタス、ハミルトン等トップドライバーでもミスを犯す状況での粘りの走り。アルファロメオのペナルティに助けられたとはいえ、入賞は入賞。かつて速さで魅了したドライバーが巧さでポイントを獲得。往年のアロンソやロータス時代のライコネンのような走りを、ブランクがあるクビサでも出来るのを見ると、怪我を起こさなかったIFルートを見たくなってしまいます。
07、08年カナダと19年のドイツ。そして復帰までのプロセス。これだけで、ロバート・クビサというドライバーは自分の中で思い入れのあるドライバーに成り上がったと言えます。
そしてヒュルケンベルグ。
10年にウィリアムズでデビューした彼は、非凡さを随所で魅せながらも、表彰台に乗れそうな、「ここぞ!」という時にクラッシュで居なくなる”惜しいドライバー”という印象が付いています。
デビュー年にPP。
12年にあわや優勝の快走。
16年オーストリアの予選3位。
等々、確実に速さはあったヒュルケンベルグ。表彰台に登れていないにも関わらず、9年間もF1のシートを得られたというのは、そういう速さや堅実さが評価されたからでしょう。
ウィリアムズ、フォースインディア、ザウバー、フォースインディア、ルノー。中団チームを行ったり来たりしているイメージがあった彼ですが、いざ調べてるみると、本当に中団の長のようになっていました。デラロサやリウッツィ、フィジケラ的ポジションですかね笑
散々噂されたフェラーリにも、ルノーへ移籍時にオファーがあったメルセデスにも加入ならず。と、表彰台運だけでなく、チーム面でもツイてない印象があります。もし、ライコネンの代わりにフェラーリに入っていれば。もし、ボッタスの代わりにメルセデスに入っていれば。クビサに続き、タラレバはご法度なお話しですけど、どうもそういう"もし"を考えてしまいます。
気がつけば中団上位にいる。でも表彰台には絶対に登れないヒュルケンベルグ。17年シンガポールGP時で表彰台未登壇ドライバーの最多出走記録更新の時するよ、とインタビューされた時に「スーティル時代は終わった」とコメントしていたのは面白かったです笑。彼の名誉の為に言っておくと、ルマンを初挑戦で制覇出来たりと決して遅くないんですよね。運も味方に付けていますし。まぁ、F1では尽く運がなかったですね。
個人的に、ザウバーで過ごした13年シーズンが印象的です。
前半戦は遅かった印象ですが、後半戦はいつも中団勢の上に来ていた記憶があります。チームメイトのグティエレスを圧倒していた。というのも何となく覚えてます。フェラーリのアロンソ、ロータスのライコネンと同じく、予選より絶対に順位を上げてくる。そんな信頼というか、期待があったドライバーでしたね。あのタイミングでフェラーリ加入ではなく、フォースインディアへの出戻りを選択したのは聡明だったんですけどね…。速さはあってもF1で成績を残せるとは限らない。ファンの方には悪いですが、彼は自分に、そのような事を教えてくれたドライバーでした。
そんな訳で、クビサとヒュルケンベルグへの思いを綴ってきました。
F1で彼らの走りが見られなくなるのは残念ですが、当然、2人ともレーシングドライバーを引退する筈がなく、これからもレースを続けていくそうですね。出来る範囲ではありますが、2人の活躍を見ていこうと思います。
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