エフライの感想記

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感想《フォード vs フェラーリ》権力に振り回された2人の男の物語。66年ル・マンの、そしてレースの面白さが凝縮されている名作

ようやく見る事が出来ました、『フォード vs フェラーリ』。

日や時間が中々合わず、もどかしい思いをしていましたが、これでやっとスッキリしました。モータースポーツを題材にした映画は、『カーズ3』を除けば18年公開の『OVER DRIVE』以来ですかね。体感ではもっと間隔が空いている気がしたので、見る事をとても楽しみにしていた作品です。

 

さて、この『フォード vs フェラーリ』。

心臓病を患い、現役生活にピリオドを打つ羽目になったシェルビーと、何処までも真っ直ぐでピュアなレーサーのマイルズの2人が、フォードという大企業の、いわゆる”大人の事情”に振り回されながらも、世界三大レースの1つであるル・マン24時間レース制覇という無理難題に挑戦するという、ある意味王道のストーリーが用意されていました。作品内の目的がハッキリしている為、レースをそこまで知らない人にとっても取っつき易く大変分かりやすいお話だと思います。

 

その、シェルビー達とフォードのお偉いさんとは別に、業績と名誉の回復の為にモータースポーツに殴り込みを決めたフォードとレースにおいては絶対王者のフェラーリ。といった対立もあり、鑑賞者が感情移入し易い作りになっていたのは良かったです。そんな中で、ヒール役のフェラーリを徹底的な悪役にしなかったのもこの作品の好きなポイントなんですよね。フェラーリもレースに対して真剣に取り組んでますから、そこを踏みにじってしまうような作風にしなかった所に制作陣のリスペクトを感じられました。

 

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レースパートの迫力や、大企業の考えとレーサーの考えの板挟みで悩むシェルビー等、見所が本当に多い作品ですが、個人的にはサーキットを筆頭にモータースポーツ関連のものが沢山見られたのが一番嬉しかったですね。

ル・マンの舞台、サルト・サーキット。物語ではマイルズをル・マンに参加させる為の前哨戦という立ち位置だった、デイトナ24時間レースの舞台であるデイトナ・インターナショナル・スポーツウェイ。冒頭の、スパナ事件で窓ガラスが割れた状態で出場した40周レースの舞台、ウィロースプリングス・レースウェイ

どれも『グランツーリスモ』をプレイした事がある人ならお馴染みのサーキットですよね。そんなサーキット達を沢山見る事が出来たのが嬉しいポイントでした。後、単語だけでしたが、セブリングの名が出たのもGood。

 

また、サーキットだけでなく、今作の主役であるフォードGT40を始め多くのクラシックカーが多く登場したのも興奮する一因でした。自分はどちらかと言うと、国産車が好きで外車にはそこまで詳しくありませんが、それでもやっぱり熱くなるものがありましたね。フェラーリP3が見られただけでも、とても満足なのに実に多くの車を見る事が出来て嬉しかったです。

 

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シーンとして好きな部分は、シェルビーとマイルズが殴り合いつつも最後には笑ってコーラを飲むシーンと、ヒール役のエンツォがル・マンのレース後、マイルズに挨拶をしたシーンの2つですね。

前者は、”これぞ男の友情!!!”って感じがしてとても好きです。加えて、その殴り合いをマイルズの奥さんが笑顔で見守っているのも、彼女が2人の事をよく理解している事が分かる良い役回りですよね。

後者は、レースをする為に会社を作ったエンツォらしい行動ですよね。どんなに憎たらしい相手であっても敬意を示す。チームオーダーが出たマイルズに対する同情のようにも取れますし、マイルズの腕を称賛しているようにも見える。レースをこよなく愛したエンツォだからこそ出来るシーンだったと思います。だって、自チームのマシンが不甲斐なく全滅したら普通帰りません?なのに帰宅する事なくレースを見届け、そしてドライバーに賛辞を贈る。これぞエンツォ。これぞ王者フェラーリだと感じました。マイルズとエンツォが手を組む世界があったのかもしれない、とこちら側に考えさせる事にも繋がる一幕なので、このシーンは作品で1番の名シーンだと思っています。

 

 

緊迫の66年のル・マンを終えた後、マイルズがテスト中に生命を落とした事で、この物語は終わりを告げました。フォードが66年から4連覇をしたという字幕から、マイルズの作ったフォードGT40は生き続けたんだな、ととても感傷的な気分になる締め方でしたね。

「死にたくなければ、レーサーなんて辞めれば良い」。そんな事を言ったのはネルソン・ピケでしたっけ。その言葉に間違いはなく、ピケより数十年も前の、それこそマイルズやシェルビーが走っていた頃のモータースポーツは、正に走る棺桶状態だったのは今更語る事でもないでしょう。そんな時代に、生命をかけてレーシングカーを走らせたマイルズを始めとする多くのドライバーには尊敬しかありません。彼らが命を燃やしたから今のモータースポーツや自動車産業がある。そう言っても過言では無いでしょう。

 

 

映画ではフォードの大勝利で終わりましたが、個人的には、この後の展開も好きなんですよね。大衆車を製造している会社に負けたという屈辱からか、フェラーリが翌年のデイトナで今回のル・マンのフォードと同じように1-2-3の並んでゴールをやり返すというまた一本映画が作れそうな事を成し遂げましたからね。デイトナはアメリカにあり、フォードもアメリカの会社ですから、やり返しを喰らったフォードの悔しさと言ったら計り知れないものがあったでしょう。その悔しさから、この年(67年)のル・マンはフォードが再び制して…とバチバチにやり合っていく流れが本当に最高。この一連の流れも映画にして欲しいなと、ついつい思ってしまいます笑

 

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そんな最高に面白かった『フォード vs フェラーリ』。

新年一発目の映画がこの作品で良かったなぁと思う反面、これを超える作品に巡り合えるか、少々不安になっている所です笑。本当、この作品はオススメ。レース好きなら見て損はないと思います!

 

 

フォードvsフェラーリ (オリジナル・サウンドトラック)

フォードvsフェラーリ (オリジナル・サウンドトラック)

  • 発売日: 2019/11/15
  • メディア: MP3 ダウンロード