11年以来、9年ぶりの開催となったトルコGP。地震の影響が心配されましたが、サーキットには特に問題が無かったようで何よりです。
ここはターン8を筆頭に面白いレイアウトを取っているサーキットなので、ここで久々にF1をやると聞いた時はワクワクしましたね。V6ターボのF1マシンが一体どのような走りを魅せてくれるのか楽しみにしていました。天候も荒れ模様な予報でしたしね。

戴冠ハミルトン
そんなトルコGPで、シューマッハに並ぶ7度目の個人タイトル確定を狙っていたのは現王者ルイス・ハミルトン。ここで同僚のボッタスが、ハミルトンより8pts多く獲得出来なければ王者決定、という楽な条件で迎えたトルコGPでしたが、そう簡単にタイトルは降ってきませんでした。予選決勝共に雨が絡み、ハミルトンは予選6位に終わってしまいまったのです。ボッタスが9位とより下位に沈んだので、タイトルを考えればイージーウィンな状況でしたが、恐らくハミルトンはタイトルより優勝に目を向けたのでしょう。決勝ではキレッキレの強さ、巧さを魅せつけ4年連続7度目のタイトルを15年以来3度目となる優勝を持って飾りました。
正直強すぎますね笑。どんな状況でも気がつけば先頭に居るのはカーナンバー44。他チームはお手上げじゃないでしょうか。1ストップを成功させる卓越したタイヤマネージメントに加え、前の車を抜きあぐねていた時にベッテルがピット、アルボンがスピンと一気に前が開けるという運の強さも感じました。強くて速くてツキもある。どうしたら良いんだ…
LEWIS #HAMIL7ON. ✊ CHAMPION OF THE WORLD FOR THE SEVENTH TIME!! 💜 pic.twitter.com/0ApmspAXEv
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LEWIS HAMILTON IS A SEVEN TIME WORLD CHAMPION!#TurkishGP 🇹🇷 #F1 pic.twitter.com/gOGfeEZxp8
— Formula 1 (@F1) 2020年11月15日
そんな"ある"が多いハミルトンに対して、ボッタスは"ない"が目立つレースでしたね。予選ではライコネンの後塵を拝す9位。決勝ではスピンを連発するという精彩を欠き、最終的に14位に終わりました。スタートで順位を上げかけたものの、ルノーの同士討ちに巻き込まれた形で回ってしまったのが運の尽きでしたね。ハミルトンはスピンしたアルボンに当たりそうで当たらないという幸運があったのと対照的にボッタスにはツキがない…。ハミルトンとトコトン対照的なレースでした。
まぁボッタスは、こういう日もあると切り替えるしかないですね。タイトルも決まってしまいましたし、来年の前哨戦として次戦以降の巻き返しに期待です。
個人的殊勲章
さて、個人的殊勲章ですが、やはりタイトルを決めたハミルトンは外せないですね。難しい路面コンディションにも関わらず抜群のスタートを決め、ミスなく1ストップ作戦を完遂し大逆転勝利を収めたのは賞賛ものです。
他はというと、躍進したレーシングポイントの2人は該当するでしょう。ストロールは最終的に9位とあまり冴えない成績でしたが、予選で101人目となるPPを獲得したのは素晴らしかったです。決勝も最多リードラップ取ってますしね。これで、モンツァ以降の不運は吹っ切れたら嬉しいです。「教わった事は無かった」と言っていましたが、マッサが成し遂げたトルコでのPPやメルセデスの連続PP阻止を再現した辺り、「学んだ事あったでしょ笑」と言いたいですね笑
PPを同僚に譲り、自己ベストの予選結果(3位)を残したものの"持ってなさ"が垣間見れたペレス。しかし、彼の本領は決勝で見られました。スタートで2位に上がると、そこからストロールに対してタイヤマネージメントの差を見せつけ、ハミルトンと同じ1ストップを完遂し2位をもぎ取りました。レッドブルの2人やフェラーリの2人からの猛攻を凌いでの2位ですから、普段の2位の何倍も価値があると思います。
ペレスの表彰台は18年アゼルバイジャンGP以来ですよね。国旗と台の位置が合わないというトラブルが表彰式でありましたが、こうやって再びポディウムに乗るペレスを見られて嬉しいです。来年のシートが決まっていないのが惜しいですね。
これら3人以外には、ベッテルを入れたいです。予選ではアルファロメオに惨敗しましたが、スタートで順位をジャンプアップするとハミルトンやレッドブル勢と互角の走りを披露しました。最終成績の3位フィニッシュが幸運によるもの、と形容されるのは否定出来ませんが、これまでの今年の苦戦状況を考えれば多少のラッキーがあっても良いですよね。久々に笑顔なセブが見られて嬉しかったです。タイトルを決めたハミルトンに「おめでとう」と言っていましたし、ベッテルは人として尊敬出来るドライバーです。
"We're witnessing you making history, man!"
— Formula 1 (@F1) 2020年11月15日
A memory to last forever as Sebastian Vettel congratulates his friend and rival @LewisHamilton 🤜🤛#TurkishGP 🇹🇷 #F1 pic.twitter.com/5LGvaby4k0
以上の4人が今回の個人的殊勲章ですかね。4人の次戦以降の大活躍も期待していま…、いや、ハミルトンは控え目でお願いします笑
その他
ベッテルの同僚、ルクレールも良いレースをしていましたね。ファイナルラップにペレスを抜こうとして、結果的に順位を下げたのは残念でしたが、良いトライだったと思います。ああいうとこで挑む選手、滅茶苦茶好きなので、今後も攻める姿勢を続けて欲しいですね。チームのカシラであるビノットがリモート参戦という、何時もとは違う状況でこの好成績ですから、フェラーリは是非、来年もこの体勢で行きましょう!
5位と8位に入り、W入賞を果たしたマクラーレンは、フェラーリと同じく予選の悪い流れを払拭した形となりましたね。予選では2人ともQ2落ち、しかも両者グリッドダウンペナルティを貰うという泣き面に蜂状態から良く巻き返したと思います。サインツは表彰台まであと1歩という所まで行きましたし、ノリスは追い抜きが良く映っていた印象です。シーズン序盤に比べ、最近大人しめなマクラーレンですが、底力はまだまだ健在なようで安心しました。
レーシングポイントやマクラーレンとコンストラクターズランキング争いをしているルノーは、今回10位、11位とあまり振るわない結果となりました。リカルドが何とかポイントを持ち帰ってきましたが、1周目の同士討ち以外あまり印象に残らない週末でした。あ、そういやリカルドが珍しくスピンしていましたね。でも、本当それくらいです。最近あった勢いがこれで消えない事を祈ります…。予選では5位と7位だったんだけどなぁ…
さて、雨という事で躍進が期待されたホンダ勢は、正直取りこぼしたレースと言えるでしょう。レッドブルが予選で2位と4位に入りましたが、負けたのはメルセデスでなくレーシングポイントですからね。凄い勿体ない感じがします。決勝でも、結果は6位と7位で滅茶苦茶悪い訳ではありませんが、コンディションを考慮するともっと前、何なら表彰台の頂点を狙えただけに残念です。チーム参戦300戦目を好成績で飾って欲しかったんですけどね。仕方ない。フェルスタッペンのペレスへのアタックには痺れましたが、あのスピンが今回のレースのハイライトでしたね。
リザルトを見ると少し残念な感じもしますが、フェルスタッペンのナイスファイトに加え、アルボンがある程度復調した事は良い収穫だったと思います。決勝でスピンを喫し、結果的にハミルトンの優勝をアシストする形となってしまいましたが、終始フェルスタッペンと同じ感じで走れていたので良かったです。アルボンは残留がかかっていますからね。頑張って欲しいです。
アルファタウリは…全くと言って良い程印象にないですね汗。唯一あるとすれば、クビアトがQ1でスピンしてノックアウト喰らった位でしょうか。2人ともスタートで大きく順位を上げたものの入賞までは程遠い位置に居ましたし、ド派手なやらかしもありませんでしたからね。フリー走行では行けそうな雰囲気だっただけに空気になってしまったのは残念です。開幕戦の頃の、「中団と下位3チームの間」というポジションが帰ってきた感じがしました。
推しであるライコネンが在籍するアルファロメオは、予選で素晴らしい活躍を魅せてくれましたね。初のQ3進出、それも2台揃ってというのは、ザウバー時代から数えて参戦500戦目という記念すべきレースに素晴らしい花を添えました。8位と10位という結果にはもう少し上を狙えたのでは…と欲が出てしまう所ですが、レッドブルと共に、セッション開始早々にアタックしていく様は惚れ惚れしました。特にライコネンは、フェラーリ2期時代、雨で冴えませんでしたからね。まだまだ腕が鈍っていない事が分かって良かったです。
そんな拍手喝采な予選に比べ、決勝ではジョビナッツィがレコノサンスでクラッシュを喫したり、ライコネンのピット作業が遅かったりと散々なものでした。まぁレッドブルと違い期待値がそこまで高くないチームなので、予選で良い夢が見られただけでも満足です。次回こそ入賞に期待します。
そうそう、レコノサンスでクラッシュというと、ラッセルもやっていましたね。2人とも無事にスタート出来て良かったです。メカニックさん、お疲れ様です。そんなラッセルの所属するウィリアムズは、正直何とも微妙な感じでしたね。一瞬ラッセルの入賞が見えた瞬間がありましたが、ノリスがそのチャンスを掻っ攫って行きましたし、更に気がついたら下位に沈んでいましたし。雨による混乱を筆頭に、レース内で色々あったものの、予選決勝共に下位から脱出出来なかった印象です。ラティフィもスピンしてグロージャンと絡んだ位しか印象にないですね…
最後にハースですが、まぁ悲惨でしたね。グロージャンは接触からのブレーキトラブル再発と不運に見舞われました。相方のマグヌッセンもスタートダッシュに成功し、一時は入場圏内を走行していましたがピット作業ミスというツキの無さ…。イモラでの頭痛もそうですが、離脱を発表してから良いところが無いのが可哀想。満足な形で有終の美を飾って欲しいです。
まとめ
という訳で第14戦の感想でした。金曜フリー走行で碌にグリップしない事が分かると、予選は雨でマトモにアクセル踏めない程大混乱。そして決勝はインターでの我慢大会で予選とはまた勢力図が大変更、と見ている方も、やっている方もしんどいレースウィークでした。オンボード映像の時の緊張感は随一でしたね。推しの事を映して欲しくなかった事は滅多にありません笑
そんな難しい条件下で新しいポールシッターが生まれつつも、最後は王者が頂点に立つというのは物語として巧く出来ているな、と感じました。やっぱり今のF1のトップはハミルトンですね。
また、今回のレースは、サーキットに犬が乱入したり、Q2にてラティフィ車の撤去作業が終わってないのにも関わらずセッションを開始したりと、レースに関係ない場面でも話題が多かった気がします。
Lance Stroll won pole position 👏
— Formula 1 (@F1) 2020年11月14日
This little fren won our hearts 🐕#TurkishGP 🇹🇷 #F1 pic.twitter.com/j9QfwCCqzm
今週の癒し。イモラでは猫が居ましたね笑。
A late contender for provisional pole appears#TurkishGP 🇹🇷 #F1 pic.twitter.com/53L0dbpDty
— Formula 1 (@F1) 2020年11月14日
「はたらくくるま」的な図鑑に居そう。
ワンコや珍しい車は兎も角、Q2開始の件はどういう判断をしているのか疑問符が大量に付きます。ビアンキの一件から何を学んでいるのか是非聴きたいですね。FEやSFじゃないんですから、安全性はキッチリして欲しいものです。まぁイモラで謎のタイミングでVSCを出したり、ムジェロにてメルセデスの助言があったにも関わらず危ないタイミングでSC解除を通告したりする運営ですからね。期待するだけ無駄かもしれません。
まぁそんな暗い話は置いといて、次回はバーレーンGPですね。ちゃんと調べていませんが恐らくナイトレースないしはトワイライトレースでしょう。あの夜のサーキットをマシンが走る非日常感が好きなのでとても楽しみにしています。
タイトルが決定し、僅かでも緊張感が緩んでしまう状況が優勝争いにどういった変化をもたらすか、という事が次戦以降の見所ですね。ハミルトンは、タイトル確定後暫く調子を落とす事が良くありますからね。ボッタス筆頭に逆襲が見られるかもしれません。まぁ、ここ数年、ハミルトンの不調傾向はあんまり見られない気もしますが、ここで悲観的になれば、来シーズンの期待を持てなくなってしまいます笑。なので、他のドライバーの躍進を祈っときます。頑張れ!ボッタス!レッドブル!
STROLL POLE
— Formula 1 (@F1) 2020年11月14日
Perez's first ever top three start
Mercedes duo in P6 and P9
Yep... that just happened!#TurkishGP 🇹🇷 #F1 pic.twitter.com/JjTKz24pD8
🏁 How they crossed the line in Istanbul! 🏁#TurkishGP 🇹🇷 #F1 pic.twitter.com/FSwCI5HEnu
— Formula 1 (@F1) 2020年11月15日