エフライの感想記

のんびりやっていきます。

感想《2021 F1 第15戦 ロシアGP》3年連続プーチン来場せず。予選、決勝共に天候に翻弄され大荒れとなった週末を制したのは…!?

歓喜のシューイに包まれたイタリアGPから2週間。F1はソチにやってきました。ここは例年荒れる事なく淡々とチェッカーを迎える事が多い為、今年は何か面白い事が起こったら良いなぁと思いながら迎えた週末でした。もう15戦なのでタイトルやコンストラクターズランキング争いも終盤ですしね。見ていて楽しい方向に事が運べば良いな、と思っていました。

 

 

怒涛の週末

スパで見られたような悪天候がここでも発生し、土曜日は、F3のレースやFP3等、F1の予選以外の全てのセッションがキャンセルされるという大荒れの日でした。自分の中では、ハギビスくんが到来した19年の日本GPが頭を過ぎりましたね。予選決勝同日開催の可能性あるな、と思いながら『鬼滅の刃』の劇場版を見た事を覚えています。

 

そんな自分の予想に反して天候は無事回復し、定刻通りにF1の予選は実施出来ました。煉獄さんの活躍に一喜一憂している最中で迎えた予選は、波乱万丈なものであり、特にQ3最終アタック時に各車ドライタイヤへスイッチした事が最高なスパイスになりました。スパで真っ先にインターを履いた事を再現するが如く、先陣を切ってソフトを履いたラッセルが3位グリッドを獲得。ほぼ同じタイミングでドライタイヤに交換出来たノリスが自身初のPP。そしてここ最近フリー走行でのクラッシュが目立っていたサインツが2位と番狂わせの結果になりました。

この3チームの並びは04年ブラジルGP以来の様です。

ひと昔前のF1感があって良いですね、この並び。自分がF1を見始めたのが05年か06年なので懐かしい気分になりました。それと、この時期から今現在まで現役で居るライコネンってヤバいでしょ…

 

本命のハミルトンは、ドライに履き替えるタイミングにてピットエントリー時に壁にコンタクト。その後スピンも喫してしまい4位に沈みました。ボッタス、フェルスタッペン共にペナルティで後方に下がりますから、これで決勝は「ハミルトンvsその他大勢」になるな、と思っていました。

 

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迎えた決勝。「ピアノの上で踊るバレリーナ」という謎の国歌演奏(国歌ではない)から始まった日曜日のセッションは、スタートから残り5周までと、その残り約5周で性質が大きく異なるものとなりました。

「ホールショットを決めたのがペースが良くないフェラーリに乗るサインツ。4位スタートのハミルトンはスタート失敗。ボッタス、フェルスタッペンは後方スタート。」という状況になった(だった)為、レース前半は全体的にトレインが形成された少々つまらないものでした。ノリスvsサインツやライコネンを先頭とする教習所、ボッタス、フェルスタッペン、ルクレールの追い上げ等、見所が無かった訳ではないんですけれどね。抜きにくいサーキット特性の本領が発揮された、切羽詰まる攻防があちらこちらで展開されました。

 

タイヤのタレを気にして、2位走行中だったサインツを筆頭に、早めにタイヤ交換を敢行したドライバーが現れた辺りからレースは動き始めました。ラッセル(3位走行)、ストロール(4位)、オコン、ライコネン辺りも早めにピットに入りましたね。しかし、この作戦は少々微妙で、結果的にフェルスタッペンら追い上げ組やハミルトンの上位進出を助けるものとなりました。

 

そして迎えたノリスvsハミルトンの英国人同士の頂上決戦。

ペース的にはハミルトンが断然速いものの、追い抜くまでには至らず。18年や20年のイタリアGP、19年のアメリカGPのような心臓に悪い静かなバトルが幕を上げました。個人的にはノリスを応援しているので、本当にハラハラしましたね。

そんなハラハラをもっと加速させる出来事が起こりました。そう、レース前70%の確率で降られると予想されていた雨選手の参戦です。

この48周目の時点では「結構降り始めてきた」という段階でまだインターミディエイトに履き替えるか悩ましい状況でした。

雨用タイヤに替えるか、ドライタイヤのままで突っ切るか。

各車判断が分かれる中、「まぁフェルスタッペンの前で終えられれば良い」というスタンスだったハミルトンはドライタイヤを諦め、レインタイヤへのスイッチを決断しました。一方の自身初優勝が懸かっているノリスはステイアウトを選択。優勝争いの2台が戦略を分けるという燃える展開になりました。

 

残念ながら、初優勝を目指すノリスにとっては悪い方へ事が運びました。

一気に雨脚が酷くなり、ドライタイヤでの走行は困難に…。結果としてステイアウトを選んだノリスの手から、初優勝という栄冠はスルリと零れ落ちる事となりました。こればっかりは仕方ないですね。天候は完全に運要素なのでどうしようもありません。強いて言うなら、置かれた状況ですよね。川井ちゃんも言っていましたが、3位とはピットストップが悠々出来る程ギャップがあったので、"もし"ハミルトンに抜かれていればノリスは躊躇いなくピットに飛び込めたでしょう。或いは、"もし"ハミルトンが勝利に固執していれば。はたまた"もし"ノリスが前戦のモンツァで勝っていれば…。

 

タラレバを言い出したらキリが無いですね。ですがこれがスポーツです。仕方ありません。

そんな難しい状況の下、ピットの指示に従ったハミルトンは前人未到の100勝目を飾りました。

07年カナダGPの初優勝を見ている自分にとっては、物凄い感慨深いですね。

個人的には、最終ラップ最終コーナーでスピンを喫しリタイアしていたら、あのイチメーター的なカウンターっぽいものがどうなったのかが気になりますけれど。まぁそんな事はどうでも良いです。運要素が強めとはいえ、こんな難解な状況で優勝を飾れるだなんて流石の一言に尽きます。ここ最近不調気味でしたが、この勝利を機に爆発しそうで少し怖いですね。今回の成績をもってランキングも再逆転しましたし、残り数戦、面白い事になりそうです!

 

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個人的殊勲賞

 

100勝目を飾ったハミルトン、そして寸での所で優勝を逃したPPスタートのノリスは勿論当確です。これは前戦の感想でも綴りましたが、やっぱりノリスって凄いですよね。スパのPPの借りは今回で返せましたし、モンツァ、ソチでの優勝の借りも近々きっと返せると確信しています。

ここ2年で一気のノリスファン増えましたよね笑。自分も漏れなくその1人です。

特に今年の活躍は素晴らしいものですし、もっと長い間彼の走りを見ていたいです。今回のレースで流れた、自らの腕に全賭けする内容の無線は滅茶苦茶胸に刺さりました。あの選択は責められるものではありませんし、今後も迷いなき走りをして欲しいですね。何時か来るであろうノリスの初優勝、期待しています!

 

ハミルトンに関しては、フリー走行や予選のミスが帳消しになりましたね。

車は急に止まれない。

もう流石すぎます。次戦以降はバチバチのタイトル争いが見たいですね。

 

また、後方スタートから上位進出を果たしたフェルスタッペン(2位)、ボッタス(5位)もお見事でしたね。フェルスタッペンは抜きにくいコースにてダメージリミテーションだったにも関わらず最高の成績を残しました。ドライ環境でも数多く追い抜きしていましたしね。新品PUを装い、次戦以降の躍進に期待です。

謎にPUパーツ交換を強いられたボッタスでしたが、終わって見れば無線で流れた狙いの通り5位を獲得しました。レインタイヤへの交換のタイミングが抜群でしたね。メルセデスを笑顔で去る為にも、次戦以降も頑張って欲しいです!

 

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コロナに罹患し2戦程お休みしていたライコネンは、復帰戦にも関わらず素晴らしいレースをしました。予選ではここ2戦Q3進出を果たしていたジョビナッツィを負かす成果を残すと、決勝でもスタートにてトップ10へ浮上。その後、ベッテルらと激しい順位争いを展開すると、ほぼほぼ完璧なタイミングでレインタイヤへスイッチ。それが功を奏して8位入賞を飾りました。欲を言えば、最後ノリスを抑えて欲しかったですけれど、まぁアルファロメオのマシンなら仕方ありません。ほぼリタイアが居ないレースでこの成績は天外ものです。引退は寂しいですが、有終の美を飾って欲しいですね。

また、成績自体は奮いませんでしたが、無線なしでレースを走り切ったジョビナッツィもハミルトン達とは別の意味で凄いと思います。あのカオスな状況で大きなミスなく完走出来ただけで儲けものですね。就活走法、期待しています。

 

順番は前後しますが、今のフェラーリで予選2位。決勝では一時首位を走行し最終的には3位フィニッシュだったサインツもお見事ですね。早々のタイヤ交換を敢行した時点では嫌な予感がしましたが、雨で帳消しになって良かったです。

何時か、スペイン国歌を聞かせてくれる瞬間を待っています!その時、ノリスが表彰台に居れば最高ですね。出来ればリカルドも!

 

特段目立った動きはなかったものの手堅く5位発進から4位に入ったリカルドや、予選の躍進から10位入賞を果たしたラッセルも良かったですね。大荒れの中でも居るべき所にキチンと居てポイントを獲得出来る。地味かもしれませんが大切な事です。リカルドはハミルトンをかなり抑えていましたし、ラッセルも雨が来る前はオコンやライコネンといった辺りからの猛攻を凌いでいましたしね。目立たない中でも光るものがありました。

 

最後に、アロンソの走りも良かったと思います。予選5位、決勝6位と特段冴えわたる成績ではありませんが、予選では難しいコンディションの中ハミルトンの次に並ぶと、決勝のスタートでは混乱を避けエスケープゾーンに避難。中盤ではフェルスタッペンを抜く魅せ場を作ると、後半は表彰台を掛けペレスやルクレールとドライで粘る失策をしてしまうものの3台の中では最上位の6位チェッカーと、出来る事は全てやった感があります。この辺りは流石ベテランの業、という感じですね。表彰台に登る日もそう遠くないと思います。

 

今回の個人的殊勲賞は10人という大盤振る舞いですが、まぁ偶には良いでしょう。

こんな順位の大移動がある大荒れな展開となりましたからね。光る走りをした人が多かった印象です。次戦もこんな感じで面白い展開が見られたら最高ですね!

 

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その他

 

さて、残り半数に目を向けると、所謂「喝!」に当たるのがアルファタウリ勢ですね。特段ドライバーが悪いという訳ではなくチームに「喝!」といった感じです。

このチームは予選Q2にてガスリーに新品インターを履かせずQ2落ちを喫しさせると、決勝では角田くんにソフトを履かせるという珍行動をしました。特に角田くんのソフト事件については、ピットに入ったタイミングが躍進したライコネン、ボッタス、ラッセルと同じ周回数だったので履かせるタイヤさえ合っていれば上位進出の可能性があっただけに悔やまれます。本当、なんであのタイミングでソフト履いたんだよ…。チームは18年ドイツGPにてガスリーに謎にウェットを履かせた前科がありますが、今回も似たような過ちを犯しました。良く角田くんは事故らず1周走れましたね。

前戦では2台揃ってDNSでしたし、段々と本性を現したというか何と言うか。残念さが浮き彫りになっている気がします。今思うと、良く開幕からオランダGPまで入賞出来ましたよね。チーム参戦300戦目は後味…どころか、食感の時点から最悪なレースとなってしまいました。

悲しい。

 

また、アストンマーティンも2台揃ってあまり良い所がありませんでしたね。

ストロールが抜群のスタートを決め、4位に上がった事が1番の魅せ場でした。その後は、ラッセル、サインツ共々早々にミディアムタイヤを捨てる戦略を取ると、ベッテルに2戦連続の寄り切りをしたり、ガスリーをスピンさせたりと悪い意味で目立った印象です。ベッテルに関しても、Q2落ちをしてから歯車が狂ったのか、あまり魅せ場はありませんでしたね。ひたすらライコネンを追いかけていた印象です。ルクレールとの元同僚対決は痺れましたけどね。ただ、大抵ドライバーのどちらかは雨の恩恵を受けているチームが多い中、2人ともにツキがなかったのは残念です。まぁ次に期待ですね。

 

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相方が表彰台を獲得したレッドブル、フェラーリの片割れは、ドライタイヤでステイアウト作戦が裏目に出たのが敗戦の理由ですね。ペレスが9位でルクレールが14位に終わりました。まぁステイアウト作戦が失敗だったのは只の結果論なので、そこをどうこう言うつもりはありません。天候なんて運要素強めですしね。「勝てば官軍負ければ賊軍」という言葉もある通り、雨が大した事なければ彼らやノリスが上位フィニッシュし、ハミルトンやライコネン達が下位に沈んだ可能性もありますから。

なので最終結果についての言及は避けますが、それを抜きにしてもここ最近のペレスは異様に大人しいな、と感じてしまいます。降雨やピットミス等、本人にはどうしようもない事も確かにありましたが、レッドブルに乗って予選9位というのはかなり物足りないですね。まだ移籍組が苦労していた前半戦の方が成績を残せていた気がします。何とか、1つ好成績を残して勢いに乗って欲しいものです。

ルクレールに関しては、後方スタートを強いられたもののフェルスタッペンやボッタス共々多くのオーバーテイクを魅せてくれた印象です。ここら辺りは「流石ルクレール」という感じですね。最後、ドライタイヤにてノリスと同じ所でオーバーシュートした際、壁にぶつかる事なく止まれて本当に良かったです。今回の結果を持ってサインツにポイントを逆転されてしまいましたが、このレースを糧に頑張って欲しいですね!

 

そして、表彰台までは行かなくとも入賞を果たした相方を持つオコン、ラティフィは良くも悪くも強く記憶に残った出来事がありません。オコンに関しては1回目のストップをライコネンらと同じ早めのタイミングで行い、その後入賞圏付近をウロウロしていたのが記憶に残っていますが、ラティフィに関してはマジで何もない。PU交換か何かで後方スタートを余儀なくされたくらいですね。

タイヤ交換の履歴を見るに、オコンはステイアウト作戦を取ったのが分かりますが、ラティフィはリタイアになっていて驚きました。一体、彼に何かあったんでしょうか。まぁ過ぎてしまった事はしょうがないので、次戦以降の活躍に期待します!こういう印象に残らない事も偶にはある。うん。

 

母国GPを迎えたマゼピンを擁するハースは、正直相変わらず勝負権がありませんでしたね。前半こそ割と他のマシンと同じところを走っていましたが、段々離されていき、シューマッハはリタイア。マゼピンは18位完走と何とも言えない結果に終わりました。まぁこのチームは何時ぞやのウィリアムズのようなF1.5みたいなものですからね。来年に期待です。

 

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まとめ

 

という訳で第15戦の感想でした。天候を味方にしPPを獲得したノリスが決勝では天候に泣く。何ともドラマチックで、F1って残酷で難しい世界なんだなと改めて感じるレースでした。0勝ドライバーと99勝ドライバー。復活しつつある古豪チームと7連覇継続中の王者チーム。この差がニクイ所で出た感じがします。

たまたま持っていた09年ドイツGPのF1速報にこういう一文がありました。「初勝利を飾った日から、それまでとは違うドライバー人生がスタートする。『勝利への道筋が明確に見えるから』と言ったのは、アラン・プロスト。それに同意したのはミカ・ハッキネン。」と。正にこの本人たちにしか分からない壁というか。そういうものが今回の勝敗を分けた気がします。ノリスはこの悔しさをバネに飛躍して欲しいですし、ハミルトンはもっと記録を伸ばしていきそうです。

あと、今回の「突然の豪雨」という状況は、ライコネンファン兼ティフォシである自分にとっては、08年スパが頭を過ぎったのですが、このロシアGPでは誰もクラッシュでレースを終えませんでしたね。それは本当に良かったです。あの時の絶望感は未だに忘れられません…

謎に目立つ赤のソフト表示。

 

さて、次戦は鈴鹿…

となっていた筈だったんですけれど、残念ながら2年連続の中止がアナウンスされています。こればっかりは仕方ないですね。シンガポールも開催されず、その代替案として白羽の矢が立ったトルコ、イスタンブールが次戦の舞台です。ストロールのPPやフェラーリ2台vsペレスの表彰台争いが既に懐かしいですね。今年は一体どんなレースが見られるのか、滅茶苦茶楽しみです!

 

 

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↩前回開催