エフライの感想記

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感想《大怪獣のあとしまつ》松竹さん、東映さん、本当にコレで良いんですか?キャストの好演と特撮描写のみが見どころの作品…

制作が公開された時から気になっていた作品、『大怪獣のあとしまつ』。内容が『ウルトラマン』や『ゴジラ』シリーズ等で度々気になる"怪獣の死骸"にフォーカスを当てた作品だったので「これは特撮好きとしては行かなくては…!」と謎の使命感に駆られて劇場という名の地獄に足を運びました。

 

「大怪獣のあとしまつ」 (オリジナル・サウンドトラック)

 

「劇場という名の地獄」と称したように、個人的にはこの作品が面白いと感じませんでした。というか、徹底的につまらなかったですね。

確かに、『探偵ナイトスクープ』の局長を辞めてから見る機会が減少した西田敏行さんや、土屋太鳳さん、山田涼介さん、オダギリジョーさんといった俳優さんの演技は大変素晴らしいものでした。また、怫田洋さんが監督を務めた特撮要素も映画の大スクリーンに負けない非常に良い出来でした。

 

ここまでべた褒めなら何が気に入らなかったか。そう、お話部分です。あと色々細かい描写も「う〜ん」と思う部分が多かったですね。

以下、ネタバレ含めてマイナスな所を綴っていきます。

お話としては、タイトルの通り「怪獣の死骸をどう扱うか」という事について描かれました。全く面白くない、しょうもないギャグや下ネタを挟みつつ終始リアル調で物語が進む感じは、さながら『シン・ゴジラ』みたいでしたね。

責任を押し付け合う各省庁に、態度をクルックル変える諸外国。そんな理不尽な公組織に立ち向かう主人公一派と、怪獣の死骸云々以外にも骨子の部分は面白い要素で溢れていました。しかし、ハッキリ言って味付け部分が杜撰でした。

 

1番にして最大の失態は、「山田涼介さん演じる主人公が光の巨人でした」というオチでしょう。ざっくりラスト近辺を文字にすると以下のようになります。

政府がミサイルを打ち込もうとしている死骸に単騎で乗り込む主人公。政府とは別の作戦を遂行しようとした彼は、着弾したミサイルの影響により死骸からノーヘルで落下してしまいました。流石に命を落としたかと思われた主人公でしたが、むくりと起き上がり、そして光の巨人に変身。そのまま死骸と共に宇宙の彼方へレッツゴー。これにて物語はジ・エンド。スタッフロールへと作品は移りました。

…。何の冗談なんですかね。

終始リアル調で物語が進んでいたにも関わらず、最後はファンタジー要素に全投げ。これを「良かった締め方」とは到底言えません。しかも、劇中で変身する事に関してのデメリット(変身するまでインターバルやエネルギーが必要とか)が一切提示されていませんから、「さっさと変身しろよ」という感想しか湧いてきません。

主人公視点では、死骸を観光資源に活用しようとしている政府の考えを知る手段がないんですよね。なので、死骸が銀杏の匂い等で有害だと分かった時点で宇宙に放り投げてしまえば物語は直様集結に向かったんですよ。変身を見られると不味い?んなもん真夜中に変身すれば解決です。

主人公が光の巨人に変身出来ない理由が特に描写されていない以上、怪獣を倒した翌日にでもお片付けを敢行すれば万事解決した今回の作中の出来事。上映時間の大半を使って描かれた、様々な人々の多種多様な右往左往は一体何だったんでしょうか。「全部が全部茶番劇やで」と制作陣に嘲笑われているような気持ちになった締め方でした。

 

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細かい描写で気になったのは、下ネタ全開ギャグ。安全性軽視な組織陣。不倫な恋愛様相。といった辺りですね。

先ずは「下ネタ全開ギャグ」。これはもう擁護のしようがありませんね。確かにギャグのツボは千差万別なので一概に邪魔とは言えません。でも、ウ◯コだのゲロだのセ◯クスだの陰毛だの。これらの下ネタ要素って本当に面白いと思って入れたのでしょうか。勿論そういう作風の作品でしたら別に構わないんですよ?『クレヨンしんちゃん』のケツだけ星人とかね。でも『大怪獣のあとしまつ』にはそういうのを求めていないんですよ。意味ないし面白くないし作中人物ですら持て余していますし。余分要素でしたね。

 

次に「安全性軽視な組織陣」。

仮面ライダーの冬映画でも思った事ですが、ここのリアル要素がおざなりだったのが残念です。具体的には、まだ安全性が確立されていない段階にも関わらず、防具なしで死骸を突っつき体液を浴びた主人公達であったり、命綱や柵なしで死骸の上に達体液にハマった環境大臣とかですね。後者に関しては、キノコ星人になる前フリがありましたが、前者にはありませんでしたし。そもそもキノコ星人化については投げやりで終わりましたし。なんかこう、色々と残念感が漂ってしまいます。要素を出すならしっかり意味を持たせ、落とし前を作って欲しいんですけどね。

 

最後は「不倫な恋愛様相」ですね。

要りますコレ?まぁ大方想い合っているのに結ばれないという悲恋を描きたかったのでしょう。しかし、わざわざ濱田岳さん演じるキャラにまで不倫要素をぶっ込む必要性は感じませんでしたね。単純に「主人公とヒロインは互いを好いているのに結ばれない運命にありました!」だけで良いのに、どうして余計な要素を足すのか。しかも不倫相手の描写も足らないし。風呂敷を広げるのは構いませんが、折りたたむ事を忘れないでいて欲しいです。個人的にはキスシーンが鬱陶しいと感じましたが、まぁそれは個人の価値観なので別に構いません。ですが、怪獣の死体処理がメインなんですよね?と言いたくはなりましたが。

 

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という訳で『大怪獣のあとしまつ』の感想でした。

目の付け所は大変良く、キャストさんの好演技や特撮描写も光りましたが、お話や演出が足を引っ張りまくる残念な作品でした。多分『シン・ゴジラ』のような事が起こったの後の世界を描こうとしたのでしょうけれど、リアルにもファンタジーにも寄せ切れない結果中途半端になった感じがします。

コロナウイルス蔓延や原発事故等、現実世界を反映しているような要素を取り入れたのは面白い試みでしたが、メインが腐っていたらダメダメですからね。久々にハズレ作品を掴んだな…という気持ちを抱えて席を立ちました。

 

予算半額で続編を作るようですけれど、まぁ期待出来ませんね。絶対劇場には見に行きません。アマゾンプライムとかで追加されたら見るかもしれないレベルです。三木聡脚本or監督の作品は自分に合わない事が収穫の2時間でした。