史上初の3連戦から1週間休みを挟んでのドイツGP。2年ぶりの開催だった。
ベッテルvsメルセデスという(特に)ドイツ人にとってたまらない争いをしている事もあってか、観客もとても盛り上がっていたように思う。
レース自体は予選と決勝で正反対の結果を見せた。
Q1でトラブルを抱え、14番手スタートを余儀なくされたハミルトンは天候にも助けられ、まさかの大逆転優勝。
体調不良も心配され、更に、(マクラーレンホンダ時代のアロンソの様に)クルマを押してうなだれた予選から一転、とても熱いレースだった。
一方、PPを取り、母国優勝へ快調に飛ばしていたベッテルは雨にコントロールを奪われ、まさかのリタイア。
大事なココで今シーズン初のノーポイントレースをしてしまった。
個人的に、ベッテルには雨に弱い印象がない(参照:初優勝の時)が、後述するザンユー無線等による焦りからやってしまった初歩的なミスだと思う。
レース前には降水確率60%と決して高くなく、降る降る詐欺かと思ったが、実際には(特にレース後)雨が降りそれが単調気味だったレースを面白くさせた。
以下、チーム毎に見ていこうと思う。
先ずはメルセデス。
予選こそ、ハミルトンにトラブルが出たが、決勝では見事な巻き返し。
疑惑のピットスルーも母国GPによる忖度(おい)もあってか戒告で済んだ。
チームメイトのボッタスは予選で惜しくもPPを逃すが決勝では終始安定したペースを刻み、2位フィニッシュ。
ペース的にはSC後、充分にハミルトンを捉える事が出来そうだったが、チームからのホールドポジション指示が出たため断念。
ここはフェラーリと比べてメルセデスの優れているところが出たように思う。
ただ、ボッタスの優勝も見たかったなぁ…
そんな見事(?)なチームプレーもあり、予選では想像出来なかった1-2フィニッシュを飾ったメルセデス。
コンストラクターズランキングでも首位に立ち、タイトル獲得に向けて順調な様子だ。
対するフェラーリはメルセデスと比べ色々雑な部分が出たレースだった。
予選こそ1-3で、決勝でもライコネンに2ストップ作戦(真偽不明)をする等、メルセデス相手に有利に進めていたがある事件が起きた。
先にストップしたライコネンがハミルトンの壁役になるのは良かったものの、なんとベッテルの壁にもなってしまったのだ。
ベッテルはチームに「タイヤが辛い」「俺ならもっと速く走れる」とチームオーダーを要請。
ライコネンとベッテルのタイヤは11周もの周回数の差があるのでベッテルの言うことも最もだ。
しかし、フェラーリは何をトチ狂ったのか暫く放置し、挙げ句の果てライコネンに「私たちはタイヤを守らなければならない」という遠回しにも程がある入れ替えの指示を出した。
ライコネンはこれに対して「何をして欲しいかハッキリ言ってくれ」と発言。
ライコネン自身もボッタスやフェルスタッペンとの順位争いがあった為無闇に遅く走れないのも今回の事件(?)が起きた原因だろう。
潔くポジションキープを指示したメルセデスとは対照的だ。
ここは8年前、物議を醸した「Fernando is faster than you」、通称ザンユー無線の発祥地であるから、フェラーリは判断が鈍ったのだろうか。
オーストリアといい過去フェラーリがザンユー無線出したところで同じような状況が起きるのは面白い。
結果、ベッテルは予選でエリクソンがはみ出した所と同じ所でミスをしリタイア。
チャンピオン争いでも大きい痛手を負った。
一方のライコネンは3位。
今年は完走したレースで、モナコとカナダ以外では全て表彰台という無類の安定感を見せている。願わくば優勝をそろそろ見たいのだが…
レッドブルは今回、リカルドに新PUを載せた為ペナルティを受ける事となった。
19番手スタートとなりタイヤがミディアムという事もあって苦戦を強いられるレースとなった。更に、最終的にはリタイアと今週はとことんついてないリカルドだった。
フェルスタッペンはスタート後とSC後にライコネンに迫るも抜くことは出来ず、終始地味なレースとなった。
雨が降った時にインターにしたものの結局実らず4位。
ルノーPUの信頼性の課題もあり思うような週末を送れていない気がする。
中団勢でトップを取ったのはルノーのヒュルケンベルグ。
完全にベッテルの陰に隠れているが、彼も母国GPである。
予選ではハースの真下の7位。
決勝も前半は相変わらずタイヤに厳しいマシンに手を焼いていたが、雨が降ると一転。
2013年のブラジルを思い出させるかのような活躍で5位を獲得した。
SC後、中団勢を大きく引き離していた事が彼のウェットへの適応力の高さが伺える。
チームメイトのサインツはペナルティもあり12位。就活中にしては物足りない成績だろう。
ここ最近何かとヒュルケンベルグの後ろにいるのが気になる。
予選では3強の真下を取ったハースはグロージャンが6位、マグヌッセンが11位という結果だった。
前半こそ良かったものの雨が降ったから2台ともインターに変えたのが不味かったように思う。
1台はドライにしとけばもう少しポイント獲得できた気もしないでもない。
ただ、SC後、グロージャンがフォースインディアをズバズバ抜いていったのは流石だった。
漸く、グロージャンの復活の兆しが見えてきた。
そのフォースインディア
は予選こそハミルトンの黄旗によってオコンがQ1敗退に終わったものの決勝ではペレスが7位、オコンが8位とW入賞を果たした。
決して今年のクルマは速くないもののこうやって荒れたレースで確実にポイントを獲得する辺り、総合的に4番手チームはココだと思う。
我らがトロロッソホンダはハートレイが10位入賞、ガスリーが14位だった。
ガスリーはPUペナルティによる最下位スタートでスタート後、バンドーンを抜くものの直ぐに抜き返され、ずっと彼の後ろを走る苦しい展開だった。
その後、雨が降るとなんと唯一ウェットタイヤを履くというギャンブルをしたのだ。
この作戦は大失敗。結局、周回遅れになってしまった。
一方のハートレイは終始安定した走りで多少の雨でもビクともせずルマンウィナーの貫禄を見せつけるレースだった。
願わくば、フォースインディアやグロージャンを抑えて欲しかったが、マグヌッセンを抑え切っての入賞は立派である。
次のレースでも活躍が見たい。
ここ最近、急成長を遂げているザウバー。
今回もルクレールが予選でQ3に進む等、テールエンダーの脱出は確実と言っても良いだろう。
決勝ではエリクソンが9位入賞という結果を持ち帰ってきた。
ルクレールはインターに変えた事が裏目に出て15位。それでも途中までは入賞圏内を走っていたことからW入賞を狙えただけに惜しいレースとなった。
次戦でもその速さが見られるか、楽しみだ。
好調なザウバーと比べ、明らかに開幕時より戦力が落ちているマクラーレン。
今回はバンドーンが予選最下位という不名誉な記録を残してしまった。
アロンソが11位に入っていた事から彼の来年のシートが怪しい。
決勝でもマクラーレンは速さを見出せないどころかバンドーン車にトラブルが起きた。
開幕前は「明日が開幕戦でも良い」と言っていた威勢は何処へやら。
同じPUのリカルドに抜かれてしまったのは対スポンサーとしても不味かっただろう。
個人的に、アロンソは好きなドライバーなので、彼が表彰台に帰ってくるのが待ち遠しいが、果たしていつになるのか…
そのマクラーレンより不味いのがウィリアムズ。
予選こそシロトキンが13位に入り復調の兆しが見えたものの決勝でではWリタイア。
マクラーレンもそうだが、遅いのにトラブルも出るとか最悪だ。
せっかく才能があるドライバーを雇っているのに勿体ない。
メルセデスPUを使っている事からシャーシが悪いのは明白だ。
今年は諦めて、来年頑張って欲しい。
イギリス、ドイツと連続してオーバーテイクショーを魅せたハミルトン。
ここ4戦で最もポイントを稼いでいる事からも良い意味で調子に乗ってきている事が分かる。
それとは対照的に全体的にとっ散らかってるベッテル。
今年は何だかんだでリタイアは無かったものの遂にやってしまった。それも、母国GPとなれば精神的ダメージも大きいだろう。
ドライバーだけでなく、チームとしての力の差が依然として大きく、俄然不利な戦いを強いられてるベッテルとフェラーリ。
次はフェラーリお得意のハンガロリンク。
ここでベッテルはなんとしてでも勝ってチャンピオン争いに首を繋げて欲しい。