夏休み前最後の一戦、ハンガリーGP。
ステアリングトラブルを抱えたベッテルをトップに立たせたままフェラーリが1-2フィニッシュを飾った昨年が未だ記憶に新しい。
更に、PU初年度でリカルドが大胆なオーバーテイクで優勝を飾った事も印象深い。
そんな何かとイベントフルなハンガリーGP。
今年も例年と同じく、単純な展開とはならなかった。
結果だけ見れば大方の予想が外れ、メルセデスがフロントロー独占の予選からのハミルトンがポールトゥウィンといういつものパターンを飾った。
しかし、そこに辿り着くまで様々な事が起こった。
先ずは予選が雨だった事。
これにより優勢と見られていたフェラーリが2列目に沈んだ。
ここはモナコ並みに抜けないコース。
予選の順位が絶対であり、ここを取れなかった時点でフェラーリの負けは決まったも同然だった。
中団勢を見ると、今回のトップはトロロッソのガスリー。
トップ3チーム以外で唯一の同ラップフィニッシュとなった。
バーレーンやモナコを彷彿とさせる完璧なレース展開だったと思う。
以下、チーム毎に振り返っていく。
先ずはハミルトンがポールトゥウィンを飾ったメルセデス。
予選でアウトラップから直ぐタイムを出すという他車には出来ない業でフロントロー独占したのが非常に大きい。
決勝では序盤こそタイヤを労って走っていたものの終始安定したレースだった。
今回の優勝によりポイントランキングでベッテルを突き放す形となったハミルトン。
5度目のチャンピオンに向けて調子は上々だ。
一方のボッタスは予選こそ2位につけ、決勝もずっと2位を走っていたが、早めに換えたタイヤが崖を迎え、ベッテルとリカルドと接触するという最悪の形でレースを終えた(結果は5位)
フェラーリの作戦に乗らなかったのは賢明だったが、最後まで走らすならライコネンに反応しなくても良かったのでは…?と思ってしまった。
未だ勝利のないボッタス。
後半戦はなんとかハミルトンに食らいついて1勝してほしい。
今回優勝候補だったフェラーリ。
Q2では素晴らしい判断でベッテルが余裕の突破を見せたが決勝では相変わらずのお粗末作戦。
ライコネンを先にピットに入れたのは良かったが、それによりボッタスがベッテルの壁役となり、ハミルトンへの挑戦権を失ってしまった。
最終的には2-3フィニッシュを飾ったものの、ライコネンのドリンク繋いでいない事件といい、マシンとドライバーは良い(実際、ライコネンは5戦連続の表彰台)もののチームとして全然ダメすぎるフェラーリ。
コンストラクターズはともかく、ドライバーズチャンピオンシップでハミルトンから突き放され、そろそろ後がない。
後半戦はもう少し作戦面とピット作業面で頑張ってほしい。
レッドブルは今回、ウェットだった予選の利点を全く活かせずリカルドがまさかのQ2落ち。
フェルスタッペンもトロロッソの間に挟まれるという悲惨と言っても間違いない成績だった。
決勝もフェルスタッペンはPU由来のトラブルでリタイア。
リカルドは後方からなんとか追い上げ4位だった。
来年からホンダPUという事もあり、ルノーからの実質的嫌がらせを受けていると考えてもおかしくないほどトラブルに見舞われているレッドブル。
後半戦はもっと厳しい戦いになるかもしれないがなんとか頑張ってほしい。
今回中団勢トップだったのはトロロッソ。
予選では雨の中2人ともQ3進出という素晴らしい活躍を見せた。
そのQ3でもフェルスタッペンを挟む6位と8位という最高のリザルトを飾った。
決勝ではガスリーが終始完璧なレース展開を魅せ6位フィニッシュだった。
ハートレイは戦略ミスがあり11位に沈んだもののルマンウィナーの意地が垣間見えたレースだった。
予選で5位に入り大量ポイントも見えたルノーのサインツは9位。
予選を考えると少し物足りない成績となってしまった。
同僚のヒュルケンベルグは得意の雨でまさかのQ2落ち。
決勝もタイヤを上手く働かせず12位に終わった。
予選でQ3に2台とも進めたハースは7位と10位のW入賞でフィニッシュする事が出来た。
マグヌッセンは現状、エースドライバーらしく安定のレースを行い、ガスリーには届かなかったものの中団勢2位でゴールする事ができた。
一方のグロージャンはピット戦略で後方の戦いを余儀なくされたものの、ミサイルは発動する事なく良いレースだったと思う。
マシン自体は4番手のチームだが、様々な要因がありコンストラクターズランキング5位に位置するハース。
ここから低迷するのが常だが、今年はどうなるのか楽しみだ。
レース前、破産が宣言されたフォースインディア。
その影響も有ってか予選はQ1落ちという不味い結果に終わった。
予選も主にトレインの先頭を走っている事が多く、このチームにしては珍しく目立った事がなく13位と14位で決勝を終えた。
スーティル・フィジケラのテールエンダー時代から知っているものとすれば破産というのは寂しいが、夏休み中に買い手が見つかりチームが存続される事を祈っている。
ここ最近調子を上げていたザウバー。
しかし今回はその勢いが完全に息を潜め、ルクレールがリタイア、エリクソンが15位という結果だった。
一方のマクラーレンはQ2でアロンソの無線芸がある位であまりパッとしない予選成績だったが、決勝では戦略がドンピシャでハマりW入賞まで後一歩まで行った。
ただ、バンドーンにギアボックストラブルが起き、それは果たされなかった。
彼の持ってなさは本当に異常すぎる。
ウィリアムズはもう最下位が定位置になったように本当に印象に残らないレースをするようになった。
雨の予選でもストロールが上がってこないことからマシンの酷さが垣間見える。
フォースインディアほどではなくても財政的にも厳しいこのチーム。
後半戦の期待はハッキリといってゼロに近いだろう。
以上、ザッと各チームについて感想を述べたが、今GPで最も印象に残ったのは個人的にライコネンの息子、ロビン・ライコネンだ。
父親譲りのアイスの食べっぷりと表彰台のはしゃぎようは全世界を癒したことだろう。
今後もちょくちょく遊びにきてほしい。
前半戦も終わりドライバーズランキングトップはハミルトン、コンストラクターズランキングトップはフェラーリとなった。
1ヶ月後のスパでは勢力図が変わるのか、変わらないのか非常に楽しみだ。