エフライの感想記

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ホンダが勝ち、マクラーレンが表彰台に登り、バンドーンが活躍した今見る『グランプリ・ドライバー』の感想

ホンダPUを積むマシン(フェルスタッペンとガスリー)が1-2。そして、マクラーレン(サインツ)が3位。と、セナ没後25年というメモリアルイヤーのブラジルGPを好成績で飾った2つのメーカー。セナとの縁が深い、この2つのメーカーの活躍は、F1ファンの心を躍らせました。

また、セナ関係なしに、復帰してからずっとグダグダだったホンダと、ハミルトンが抜けてから没落していたマクラーレンの復活とも取れる金星は、15年からの第2期マクラーレン・ホンダの惨状を見ていた自分にとって、とても嬉しいものでした。

ホンダからすれば、1-2はセナプロ時代以来。マクラーレンからすれば、表彰台は14年開幕戦のマグヌッセン以来という両者の快挙。暫くF1の舞台に居なかったホンダは仕方ないとして、ずっとF1にいたマクラーレンの表彰台が、ここまでえらく久々だったのは驚きでした。なんてたって14年ってV6ターボエンジン(PU)の初年度ですからね。ウィリアムズやフォースインディアの躍進の陰に隠れて悲惨なシーズンを過ごしていたんですね…

 

もちろん自分も人間ですから、肩入れするチームや嫌いなチームはあります。ですが、かつて頂点を争ったのにも関わらず、ここ数年苦汁の日々を過ごした2つのメーカーが表彰台を独占したというのは、大変嬉しい出来事です。

 

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さて、"人間ですから"という免罪符をワザワザ置いたのは理由があります。今から綴る事はヤな奴がする事ですからね。

そうです。このお祭り騒ぎのタイミングで、自分はプライムビデオにあるマクラーレンのドキュメンタリー番組、『グランプリ・ドライバー』を視聴しました。Amazonが17年シーズンに向かうマクラーレンに密着したこのドキュメンタリーは、テスト前のF1チームの動きが分かる、大変興味深いものとなっていました。

しかし、F1ファンならご存知でしょう。17年シーズンの有様を。散々たる成績で終わった復帰年の15年。そして一定の改善が見られた16年。ゆっくりではありますが、確実に成長しているホンダに、ファンもマクラーレンも期待するものは大きかったと思います。いや、”思います”じゃない。確かに、”今年こそ…!”と大きな希望を抱いたシーズンでした。

希望を胸に、PUのコンセプトを一新して臨んだこの年は、復帰年の15年シーズンを再現がするが如く、脆くて遅いPUと、ウイングをマックスに立てないとダウンフォースが得られないという最悪のシャーシが爆誕してしまいました。これらを組み合わせたマシンではまともな結果は望めません。第8戦のアゼルバイジャンGPまでノーポイント。前半戦最終戦の第11戦ハンガリーGPでW入賞を果たすまでコンストラクターズランキング最下位という信じられない有り様でした。

因みに、ハンガリー終了までマクラーレンの上にいたのは、現アルファロメオのザウバーでした。この年のこのチームというと、ドライバーは、エリクソンとウェーレインコンビ。それで型落ちのフェラーリPUを使用していました。タイヤに優しいマシンだったので、ピットストップを少なくする作戦を良く取っていた気がします。そういえば、前年(16年)のブラジルGPで地元入賞を果たしたナッセがクビになるという悲劇がありましたね…

…多少話が逸れましたが、まぁ、その新型PUを揃えられない程資金難なチームに、前半だけとはいえ、あの伝説のマクラーレン・ホンダはコテンパンにされました。この結果は、流石にシーズン前は想像していませんでした…。今見ても酷い成績…

 

一ファンが酷いと思う訳ですから、それでご飯を食べている経営陣が指を咥えて見ているはずがありません。契約が残っているのにも関わらず、第14戦シンガポールGPの週末に下された”パートナーシップ解消”の審判。成績を鑑みると当たり前の判断ですが、当時は、いささか急に感じましたね。真偽がどうであれ、この判断のお陰で、セナプロの栄光は何処へやら。赤っ恥の成績を残して、第2期マクラーレン・ホンダは幕を閉じました。

 

この低迷には色々な原因があると思います。ホンダのPUが不甲斐なかったのは勿論ですが、パートナーのマクラーレンにも非がありました。首脳陣やドライバー達がシャーシ側の問題に一切触れず、口を揃えてホンダ叩きをしていましたしね。あの時、ホンダの肩を持っていたのは、元F1のトップ、バーニー・エクレストンだけだったと思います。

 

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閑話休題。

そんな最悪な結果に終わった17年シーズンの裏を包み隠す事なく、掘り下げられるだろうと『グランプリ・ドライバー』を見る前は思っていました。しかしこのビデオ。余程のマクラーレンファンじゃないと思うでしょう、「マクラーレンのプロパガンダムービーだ」と。ホンダファンである自分は、「マクラーレンとホンダはここまで頑張ったんだよ。でもダメだったんだ…」的な内容を期待した訳ですよ。共に力及ばずで栄光の再現は叶わなかった。でもお互い新たな一歩を踏み出した。Have a Good Luck!といった感じの。

 

ですが、実際に映し出されたのは、「確かにシャーシ製作が間に合わなかった事はマクラーレンにも非がある(小声&早口)。だが、こんなポンコツPUを作ってきたホンダはもっと悪だ。我々(マクラーレン)はこんなに頑張っているのに!!!!!(大声)」と言わんばかりの内容でした。いやいやと。「新車発表用のシャーシとテスト走行用のシャーシの2台すら用意出来ず、新車お披露目会で使った車をそのままテストに持っていくチームが偉そうにするな!」と言いたく成る程腹が立ちました。

このチームは財政難で破綻したケータハムやマルシャ、HRTとは違うんです。つい数年前はタイトル争いをしたビッグチーム、泣く子も黙る”マクラーレン”なんです。それなのに新車2台すら完成出来ないなんて…。なんか悲しい気持ちにもなりました。お披露目会用のシャーシはPU関係ありませんからね。ガワだけあれば良いですから。

 

 

全体的にホンダdisの内容が占める中、唯一の癒し(?)だったのが期待の新人、バンドーンについてでした。トレーニングやスポンサー対応等を見る事が出来、F1ドライバーの裏側を知れて、大変面白かったです。彼もマクラーレン・ホンダのゴタゴタに翻弄されたドライバーですよね…

 

デビューが今年だったら…

チームがマクラーレンじゃなかったら…

同僚がアロンソじゃなかったら…

 

スポーツ界でタラレバは厳禁ですが、彼がF1で活躍した世界戦も見てみたいです。今フェラーリで活躍しているルクレール並みにGP2(現F2)を圧巻していましたからね。十分可能性はあったはず。マクラーレンをクビになった後、メルセデスに拾われて、FEで活躍(開幕から2戦連続表彰台)出来て良かったです。日本のSFを経由してますからね。思い入れがありますし、判官贔屓かもしれませんが、応援したいドライバーの一人です。彼には、是非ともマクラーレンを見返して欲しいですね。

 

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さて、そんなビデオの締めは、マクラーレンの”来年からルノーと頑張るぞー!”という宣言的なものでした。数年後、「ルノーはダメ。○○と頑張るぞ!!」とループしそうと思ったのは内緒です笑。最後までホンダに対するフォローが一切無かったのが、とても印象的です。あくまでも”マクラーレンのドキュメンタリー”というスタンスで撮られていたものだったので仕方ない面もありますが、誰が何と言おうと、17年シーズンまでは"マクラーレン・ホンダ"というチームだったので、パートナーであるホンダを貶す事は個人的にちょっと…と思いました。

 

 

そんな偏見に溢れているこのビデオですが、自分のホンダに対する気持ちを抜くと、F1チームの裏側を見れる、とても面白い内容でした。F1ファンなら見て損はないと思いますよ。特に今なら、ホンダもレッドブルと組んで勝てるようになり、マクラーレンもベストオブザレスト争いで常に上位をキープという共にハッピーな状態になってますからね。心穏やかに見る事が出来ます。もし、このビデオを公開時に見ていたのなら、間違いなくマクラーレンが嫌いになっていました自信があります。まぁ今もブーリエとか嫌いですけどね。

 

まぁ何はともあれ。タッグを解消したホンダとマクラーレンが共にキチンと復活して良かったです。もし片方が躍進して、もう片方が落ちぶれたら微妙な空気が流れていたでしょうしね。ホンダとマクラーレンが快挙を成し遂げたこのタイミングで「あぁ、こんな事もあったなぁ」と振り返る為のツールとして『グランプリ・ドライバー』、如何でしょう?