エフライの感想記

のんびりやっていきます。

総評《アニメ『僕たちは勉強ができない』1期&2期》勉強×恋愛のラブコメ作品。ラストのアレは一体どういう意図なのか。

春クールに1期。そして秋クールに2期と分割2クールのようなスタンスで放送された、アニメ『僕たちは勉強ができない』。学園物のラブコメでは珍しい高校3年生からスタートでしたね。

 

 

 

所謂”努力の天才”である主人公、唯我成幸が、推薦の為に、持っている才能とは別の道を志望しているクラスメイトの教育係をこなしていく中で、ヒロイン達と触れ合っていき、共に成長していく作品です。

 

 

文系の才がありながらも、母との思い出を胸に天文学を志す、古橋文乃。

理系の才がありながらも、人の心が知りたいと心理学を志す、緒方理珠。

水泳の才があり、それを活かす為に、勉学を補う必要のある、武元うるか。

 

この3人のメインに加え、残念美人の先生、桐須真冬と浪人してまでも実家を継ぐ為、医学部を目指す、小美波あすみ(以下、あしゅみー)。の5人をヒロインに据えた”ヒロイン複数型の作品”。

各々の成績向上と、主人公と結ばれるのは誰かというのが見どころで、結末を予想しながら、お出しされる展開に一喜一憂するのがとても楽しかったです。

また機会があれば綴りますが、自分は2期の途中で原作漫画を揃えたので、漫画とアニメで違う部分を発見するのも楽しかったですね。一体アニメはどこまでするのか。というのも気になって、土曜深夜の更新を待っていました。

 

 

期待と不安でいっぱいのアニメ2期で、ラストを飾ったのが、文化祭編。漫画では第8巻に収録されているお話です。

理珠のうどん販売を手伝い、衣装トラブルから、うるかのステージに桐須先生を出すというウルトラCを実行し、道中、あしゅみーの協力を得ながらも、文乃の演劇で着ぐるみ越しのキスをするというイベントフルだった成幸。そんなお疲れの彼を待ち受けていたのが、後夜祭で花火が打ち上る瞬間、手を繋いでいた者は結ばれるというラブコメ特有のジンクスイベントです。3人のメインヒロインの後援者がそれぞれ計画を立てていたこのイベントですが、花火が不発により計画は頓挫。倒れていた成幸を起こそうと、差し伸べた手を、成幸が掴んだ瞬間、花火は上がり、明確に誰かと結ばれる事を読者に示めした(差し伸べた人は読者は分からない)、重大なラストを孕んだお話がアニメの最期を飾りました。

丁度アニメ2期は、原作最新話と妙に被せてくる事もあったので、結ばれるヒロインを先行で公開するのでは?という予想をしていたのは自分だけではないと思います。

 

 

 

結果、アニメで手を繋いだヒロインは”明示”されませんでしたが、ED後のアニメオリジナルパートで、十中八九このキャラだろうなと分かる演出がされており、放送後、Twitterのトレンドを関連ワードで独占するほど話題になりました。

 

 

さて、この演出。単なるアニメオリジナルなのか。原作の展開の先取りなのか。誰しも気になる部分だと思います。当然作者さんは、

 

 

と答えを濁していますが、原作者が一切関与していないなんて事は、普通あり得ないので、何かしらの意味や意図があるのだと考えるのが妥当でしょう。

 

では、その意味や意図は何なのか。自分は、原作の先取りと考えています。

勿論、合格発表の喜び方が原作と違うからパラレルという考えは分かります。自分は文乃推しなので、文乃が結ばれず、泣く展開なんて見たくありません。ですが、アニメで1期の締めを貰ったり等、比較的うるかより扱いが良かった文乃が結ばれないような結末を、わざわざアニオリでするか?という疑問があります。当然それは、原作で逆転ホームランを打つ前振りだという考えもありますが、素直に考えると、うるかが結ばれる他にないと思います。

 

 

個人的には、この先行公開とも取れる手法が懐かしく感じるんですよね。自分の幼児期を支えた『龍騎』や『555』の映画と同じような感じがしますから。この2作品の映画は、物語の根幹となる要素を本編より先に公開した事で、大きな衝撃を我々に届けてくれました。アニメ『ぼくたちは勉強ができない』のラストも、何処かそれらと同じような気配がするんですよね。原作では、うるかが告白して、さぁどうする!?という展開の中での最終回の先行公開。これを意図的と言わずして、なんと形容すべきなんでしょうかね。いやはや、やられた。

 

 

基本的には、あのアニオリCパートが好きな自分ですが、残念な所を上げるとすれば、一気に卒業まで行ったことで、アニメ3期が絶望的という事ですよね。キス相手が成幸と分かって悶える文乃や、病院関連で悩むあしゅみーとか動く映像で見たかったなぁ……

 

後、これは上で少し触れた構成の事なんですけど、うるかエンドの割には、うるかの出番が少なかったですよね。ツギハギというか何と言うか。元々入れるつもりがなかったけど、土壇場であのCパート導入を決めたのかな、とそんな感じがしてしまいます。

折角の分割2クールだったのですから、始めから逆算して作れば、もっとバランス良くなったのに…。見るからに2期は予算が増えたなと感じていたので、もっとうるかエンドに説得力があるお話に出来たのではと思ってしまいます。

 

 

と言っても、全体的にはキャラが可愛く、また、キャストによるユニット、Studyが歌う楽曲は、青春感満載で、無限の可能性を秘めている文乃達を表しており、聴いていて、とても元気になります。湿っぽくなる事もなく、ひたすら面白かった『ぼくたちは勉強ができない』。

 

アニメでは一応の決着をつけましたが、原作では一体どうなるのやら。アニメから入ったファンですが、今後の展開に期待するところであります。個人的には文乃に勝って欲しいんだけどなぁ…