エフライの感想記

のんびりやっていきます。

やっぱり『ムシキング 森の民の伝説』って最高だ…

ほぼ1ヶ月前に書いたこの記事。

 

www.k-efrai.com

 

そう、『甲虫王者ムシキング 森の民の伝説』の感想記事。何とか、そして漸く、全話見れました。

途中用事が入り、1話も見れなかった日が度々あったので、31日無料体験のリミットギリッギリで視聴し切る事が出来ました。危ない危ない。今回お世話になったU-NEXTの操作感覚等はまた別の記事にするとして、今回は、そのアニメ『ムシキング』の総括をしていきたいなと思います。

 

 

前の記事でも書いた通り、全体的に凄い重たいテーマを扱っているんですよね、この作品。"生死"とか"生き方"とか"自然との付き合い方"とか"生命の意味"とか。

毎話毎話「こっちが正しい!」とは言えないテーマを引っ張って来て、視聴者に考えさせる作りになっているのは、ある意味で子供向けではなく、でもまたある意味で子供向けのように感じられました。それこそ『龍騎』や『555』のような、当時見ていた、自分みたいな人が改めて見た時に、改めて心に刺さるように作られていますから。

 

 

そして、この作品の良いところなんですけど、キャラが全員魅力的なんですよね。

森の守護者として森のと皆んなを守りたいポポ。一匹狼で旅をしつつも何処かで愛情に飢えていたソーマ。運命に流されるように生きていたものの、ポポとの戦いを通じ、最終的に運命に抗うようになったパサー。ムシをとても大切にするあまり、敵側に回ったグルム。etc.etc.

 

敵味方問わず、全員が全員強い信念を持っているんですよね。だから敵役にも肩入れをしてしまうし、時にはポポ達以上に彼らを応援してしまう。本当はポポやムシキングを応援すべきなのに、今回ばかりはそうでない。そんな回が時たまあるのが、この作品の面白いところ。

 

 

後、これは凄い細かい事なんですけど、ヘルクレスリッキーブルーの隠し方が上手いなぁと思いました。

これは当時ムシキングをプレイした人なら分かると思うんですけど、リッキーって滅茶苦茶人気があったカブトなんですよ。1番欲しかったし、最後まで引けなかったリッキー。アニメにも出てきて欲しいものの、正直ノーマルのヘルクレスが出た事で出番がないのかな、と思っていました。

 

でもちゃんと出てきた。しかもラスボスで。

そもそも最強の敵アダーの持ちムシが、最強のイメージがあるカブト、ヘルクレスの時点で絶頂ものなのに、リッキーも従えている。これだけでアダーの強さが推測出来るのも凄いですよね。「皆んなの憧れ、ヘルクレスを操っている=アダーは最強」こんな簡単な事で、アダーの威厳を示すのは単純ながら上手いなぁと思いました。ムシキング世代のヘルクレス最強信仰はなんでなんでしょうかね笑。

 

 

で、その個人的に凄いと感じた隠し方というのがED『HIKARU☆ステージ』のアダーのソロカットシーンなんです。

ここを見ると、アダーと共に映っているムシがノーマルのヘルクレスか、リッキーなのか、分からないんですよね。アダーのカットだけでなく、全体的に色アレンジが施されているから、何かみんなカッコよく仕上がっているし、アダーの持ちムシを隠せる。意図的なのかどうか分かりませんが、凄いなと思いました。

当時は「やっぱりリッキー出た!WOOOOOOO!!」と滅茶苦茶興奮しましたが、今はその興奮に加えて「EDの隠し方上手いなぁ」と感心する自分がいました笑

 

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そんな『ムシキング 森の民の伝説』。

良いところばっかりではありません。悪いところもあります。

個人的に1番気になったのはお話の構成ですね。ソーマの闇落ちとパム(とサーカス団)の隠された真実判明の組み合わせが特に悪かったなと思います。22話から24話を使って行われた、パムの秘密判明編。これまで多くを話さず、不思議ちゃんポジションにいた彼女の秘密は、考察の余地が大いにある、とても興味深いものでした。物語としてもサーカス団の面々が記憶を無くしている理由付けにもなっていて、とても良く出来ていたと思います。

ですが、問題なのが、続く25話。普通ならここで、物知りロボット(端末)という存在から、普通の女の子に生まれ変わったパムと、パムを守るという使命を終えたサーカス団達との、再度の友情を結ぶ回が入るだろうと予想される訳です。雨降って地固まる。まさにそんな、如何にも新章開幕のようなお話が見られるだろうと思っていました。丁度第3クールに入るタイミングですしね。

 

しかし、この話で扱われたのは、敵対関係のソーマとチョークが実は親子でしたという事だったのです。前々から伏線を張っていたので、そういう意味での唐突感はありませんでした。

とはいえ、「パム(とサーカス団)の使命は終わりました!」で24話が終わった為、これからパムがポポと旅を続けていく上では、どうしても"何故付いていくのか"という理由が必要なのです。サーカス団に関しては各々の理由付けがされていましたが、パムに関しては皆無。しかも以後、端末キャラと普通の女の子キャラが入り混じる事になり、彼女の立ち位置が不安定になったのです。

 

だから25話からのソーマとチョークの真実判明+ソーマの闇堕ちのお話に、あんまり乗れない。折角の味方キャラの敵化という超絶美味しい展開なのに気持ちが付いてこないのはあまりにも残念な事です。そのようなお陰で、ソーマに懐いていたセランが、パムを差し置いてヒロインの座を射止めるような格好になり、ますますパムの立場が無くなってしまったのです。あくまで所感ですけどね。

 

 

それと、登場するカブトやクワガタが過剰だったようにも思えます。

ニチアサシリーズで言う"販促"の面があるのか、本当に多くのカブト達が物語に登場しました。その結果、色んな種類が見られて嬉しい反面、物語的にはあまり美味しくないというか、敵キャラのカブト・クワガタに対する思いが上手くこっちに伝わってこない為、いわゆる"エモいシーン"で、これまたそこまで気持ちが乗ってこないんですよね。

 

個人的にそれな事を強く感じたのが、グルムとアクティオンゾウカブトの関係。

ムシをとても大切に思う心優しい性格をしているのにも関わらず敵側にいるグルムは、ムシキングとの度重なる戦いで、相棒のアクティオンゾウカブトを亡くしてしまうのです。

この29話「野イバラの墓」の下り、本当に見ていて辛かったです。グルムは初登場から良い奴オーラ全開だったので、この仕打ちは可哀想だと。死んで橙色の目となったアクティオンの悲惨さと共に、見ていて胸が苦しくなったシーン(回)でした。

 

ただここで思うのが、何でグルムはアクティオンに肩入れしていたのか、という事なんですよ。視聴したら分かると思うんですけど、グルムはアクティオンを1番気に入っているんですよね。でも彼はアクティオンの他にエレファスゾウカブトやタランドゥスツヤクワガタ、メンガタカブト等(書いていて懐かしい)、多くのムシを使っていました。特にタランドゥスなんて、身体にが傷付くからと、ムシキングにトドメ刺すのを止める。なんて行動をしていたんですよ。

 

だから悲しいのは分かる。辛いのも分かる。でも何でそこまでしてアクティオンに肩入れするんだ、と。アクティオンの傷が酷いならタランドゥスを使えば良いじゃないか。両方とも つよさ200の最高レアリティだぞ、と。エモいシーンにも関わらず、そう思ってしまう嫌らしい自分がいるのです。

このグルムのアクティオンに対する動き、光堕ち前のパサーやチョーク、そして悪役を貫いたデュークやアダーなら分かるんですよ。怪我をしたエースと元気な控えで、前者を取る行動をしそうなキャラ達でしたから。でもグルムは違う。彼はアダー側に回ってもムシを大切に思っていました。だから深い傷を負ってるアクティオンを酷使する理由が一切無いんですよね。実際に戦いが終わったら遊ぼうなんて言っていますから。

だから酷使の理由付けが無いのが残念というか、グルム可哀想…と思う中、何処かでタランドゥスやエレファスを使えばこうならなかったかも…と考えてしまうのです。グルムがそんな冷静な判断が出来ない程追い込まれていた訳でもなかったから余計に。

 

そもそもコーカサスオオカブト(パサー)やエレファスゾウカブト(グルム)、セアカフタマタクワガタ(チョーク)と、つよさ160超えを最初に使っておきながら、ちょいちょいノコギリタテヅノカブト等の低レアリティを使っていく的キャラのスタイル自体、個人的に良く分かりませんでした。

段々と敵も強くなっていくなら分かるんですけど、セアカフタマタ(つよさ160)を倒したムシキングが、スペキオシスシカクワガタ(つよさ100)に苦戦するなんて、当時幼稚園生の自分には理解出来なかったし、今でも不思議に思います。「おいおい、ムシキングよ。君はサトシのピカチュウのように、経験値がリセットされる仕組みなのか。」と、ちょっと不満を持ってしまいます。

 

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以上のように、決して完璧な作品ではない『森の民の伝説』。

ですが、非常にナイーブで重いテーマに対して、逃げずにしっかり描き切った事。更に、単にメッセージとして視聴者に投げつけるのではなく、考えさせるように仕向ける作りになっている事。そして単純にキャラが皆んな魅力的で、ムシ達がカッコよかった事。

これらの良い部分や好きな部分がとても多く、見終わった後、「あぁ15年経ってもやっぱりムシキング、好きだなぁ」と改めて感じられました。

 

 

そしてこれは4クール作品の特権。

エピローグでの皆んなのワチャワチャ。これを見ると、とてもホッとします。もうこのキャラ達は戦わなくて良いんだ…って。

こういう"エモさ"は1クール作品では中々表せないものですよね。話数でいうと約50話。期間でいうと、今回は1ヶ月で見終わりましたが、リアタイだと1年。時間だと、3話で1時間と計算すると約13〜14時間。それだけ長く、物語上のキャラと付き合って来ましたからね。

そんな愛着だらけのキャラが各々幸せなエンドを迎える。本編が苦しく辛かっただけに、これが嬉しくて堪らない。

 

生きてこそ、今ここから始まる

 

生きる事の大切さや生命の重大さ。自然との向き合い方等様々なメッセージが込められた『ムシキング 森の民の伝説』。

幼稚園期を共に過ごしたコンテンツだから思い出補正が異様にかかっているのは分かっています。でも、そんな事は重々承知しつつも、この作品は色んな人に見て欲しい作品だと思います。懐かしさを感じながら投げつけられる問いに対して自ら考える。そして結論を出す。それをしていく事で、"人が出来ている人"として生きていけるんじゃないかな、と思います。

まぁそんな大層な事をしてなくても、純粋に物語として面白い作品ですからね。約50話というのが一気見には少々不向きなのを除けば、本当に良い作品だと思います。

ですから、見ましょう!『ムシキング 森の民の伝説』。15年前の当時の事を思い出しながらムシ達のカッコ良い姿を見るだけで、とても楽しめますから!笑

 

 

 

 

おまけ

 

セアカフタマタクワガタといい、ブルマイスターツヤクワガタといい、自分が最初に引いた銅レア銀レアがチョークで笑ってしまった。金レアはマンディブラリス(デューク)だったから、実は俺、ソーマなのかもしれない…笑