エフライの感想記

のんびりやっていきます。

総評《新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION》ストーリー、作画、小ネタ。どれを取っても良し!JR各社が協力した意欲作!!

2018年1月から2019年6月まで放送された作品、『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』。22年3月現在、その2期が絶賛放送中ですが、ようやく(?)1期全76話を完走する事が出来たので、今回はその感想を綴っていこうと思います。

 

新幹線変形ロボ シンカリオンDVD BOX1(通常版)

 

アニメシンカリオンの1期は、前述の通り、少し前に放映された作品でした。「プラレール(新幹線)が『トランスフォーマー』のように変形し戦う奴」とか、「声優が豪華」とか。そう言った大雑把な知識はありましたし、人気作品という事も知っていました。しかし、作品を知った時点で既に何十話か放送されていた為、「今から視てもな…」と思い、視聴しなかった記憶があります。当時はサブスクに入っていませんでしたしね。追いかけようと思うと、今は亡きTSUTAYAに駆け込む必要がありました。

 

そんなこんなで見送っていた今作品。偶々2期である『Z』の放送を見たのと、プライムビデオのオススメに出てきた事を切っ掛けに、放送開始から4年遅刻して視聴を開始しました。全76話の内、51話までしかプライムビデオで配信されていなかった為、プライムビデオに組み込まれているdアニメストアの無料体験に申込みをしたり、そもそも全76話が長かったりと、色々な事があったのが既に懐かしいです笑

 

で、そんな『シンカリオン』。

子供向けアニメなのは百も承知で見ていましたが、子供だけでなく大人でも十二分に楽しめる作りになっていて、見ていてとても楽しかったです。自分はどちらかと言うと車派で、電車の知識はあまり無かったのですが、それでも話についていけましたし、ストーリーの本筋もしっかりしていたので、薄っぺらさというか子供騙しというか。そんな邪な気持ちは全然抱きませんでしたね。

 

スポンサードリンク

 

 

 

この作品の教訓は、"対話や他人を信じる事の大切さ"や"自らとは異なる種族との触れ合い方"、"均一化、統一化の危険性(裏を返せば「多様性の尊重」)"だと自分は受け取りました。そんな骨子に「変形してロボットになり敵と戦う」というアクション要素や、新幹線と言った子供(や自分)を釣れる要素で肉付けする事で『シンカリオン』は成り立っていると感じています。

最初は子供を信じ切れていない大人との対立→和解を描き、その後にキトラルザスという地底人との対立→和解を描く。18年放送の作品とはいえ、多様性が謳われ始めた近辺な年ですから、子供へのメッセージとしては重大なものがあったでしょう。

 

また、成長するのが、シンカリオンを運転する子供だけでなく大人もっていうのも良いですよね。シンカリオンの運転士であるハヤトらのサポートを担当したフタバの姉ちゃんや本庄の兄ちゃんを筆頭に、話数を重ねる毎に大人キャラも随分と成長したように感じます。

身長差があるからか、どうしても自分たちは「子供は子供。大人は大人」として見たり考えたりしてしまいます。そんな偏見のようなものにNOを突きつけ、「子供も大人もみんな一緒。共に力を合わせて成長していく」事を描写した『シンカリオン』は素晴らしいと思います。この辺は1クール作品では描けない、長期作品の優れた所ですよね。話数が潤沢にあるからこそ、脇役にもスポットが当たり、結果として物語の説得力が増したりキャラに魅力や愛着が出たり湧いたりします。本庄さんが弄られキャラになるなんて、放送開始当初は思いもしませんでした笑

 

 

 

真面目なお話(?)はこれくらいにして、次はもう少しIQを下げて好きな要素を挙げていきます。

先ず、沢山シンカリオンが登場した、っていうのが熱いですよね。

プラレール含めた様々な玩具を売らないといけないという大人の都合もあったと思いますが、物語を通して色々な新幹線を見る事が出来て満足度は高かったです。まぁその分、北海道新幹線のH5はやぶさとか九州の700シリーズ等、出番が著しく少ないシンカリオンも出てしまったんですけどね汗。ですが、関東圏のみに絞る事なく全国各地を走る新幹線にスポットが当たって良かったと思います。個人的にお気に入りの新幹線はドクターイエローなので、2種類登場、しかも結構良いポジションを与えられて嬉しかったです笑

 

次に、恐らく子供は理解しにくいであろう、大人向け小ネタがふんだんに取り入れられていたのも、この作品の好きなポイントです。

例を挙げると、前述したH5の運転士には初音ミクが抜擢された事や17話や31話に登場した『エヴァンゲリオン』新幹線こと500 TYPE EVAといった辺りでしょう。百歩譲って初音ミクは知っていてもエヴァを今現在の子供が知っているとは到底思えませんからね。大人向けの嬉しいサプライズでした。

他には、71話で主人公であるハヤトが「Get wild」を口ずさんでいたり、駅のアナウンスをお笑い芸人の中川家が担当していたり。小ネタを自然に物語に組み込んでいた印象です。また、かつて新幹線を通す計画のあった大鳴門橋に漆黒の新幹線を通したり、クリスマス回にて山下達郎さんの「クリスマスイブ」をBGMとしたJR東海のCMのオマージュが流れたり、放送当時はまだ完成していない山手線新駅、高輪ゲートウェイ駅に言及したりと、鉄道好きにとっても嬉しい要素を入れ込んでいましたね。ただ単に子供向けに留まらない辺り、制作陣の本気が伝わってきます。

 

スポンサードリンク
 

 

 

そんな『シンカリオン』にも個人的にイマイチだったポイントか幾つかあります。今度はそれを綴っていきますね。

先ず、前述の通り出番の少ないシンカリオンが多数存在したっていう事です。せっかく魅力的なキャラ、シンカリオンが居てるのに出番が少なくてブチ悲しかった。レイの800つばめなんか、割と早めに出てきたにも関わらず後半は700シリーズと共に"ただの九州勢"に成り下がって居ましたからね。ブラックシンカリオンを除くと、唯一単一で飛行出来る機体だったので、そこを活かした活躍がもっと見たかったです。

 

でもまぁ地域特化シンカリオンだと考えれば、800つばめとかH5はやぶさの不遇はまだ良い方なんですよね。500こだまとかE3つばさアイアンウイングといった面々は最終戦からハブられるという始末でしたから…。N700aはリュウジから弟のタツミへと受け継がれましたが、上記2つは特段引き継ぎのないままお役御免となりました。アイアンウイングなんて出ても出てこなくてもさして影響がありませんでしたしね。エヴァみたいに一発ネタでもありませんし、ちょっと残念でした。

 

また、物語の構成も一部「うーん」って思ってしまうところがありました。特に顕著だったのが、E3の運転士であるシノブ関連です。彼の乗るE3は、スポット的な役割だと、初登場時フタバ達サポートメンバーから語られました。しかし、何時の間にかシノブはレギュラーに昇格していたのです。

別にそれだけだったら良いんですよ。レギュラーキャラが増えるのは物語に厚みが出来ますからね。しかし問題なのが、主人公であるハヤトとろくな会話がないまま、12話でN700a&リュウジという新シンカリオン、新キャラが出てきた事なんですよ。ハヤト達初期メンとシノブの打ち解けが十分に行われていないまま新しいキャラのお話が展開される事に違和感と言うか何というか。そういった類の物を感じてしまいました。スポット参戦かと思いきやレギュラーキャラ化。でも主人公と禄に打ち解けていないので微妙な距離感がある。そんな微妙な立ち位置にシノブは立たされたのです。

 

また、物語終盤においてのシノブ回も中々に物足りなかったです。

具体的には45話にて描かれた、シノブがシンカリオンから降りるか!?というエピソードです。両親が沖縄に移住する事を理由に上記の事を考えたシノブですが、最終的にハヤト達に思いを吐露するのに留まり、次回から普通にシンカリオンに乗っていたんですよね。

何となくですが、こういう「本当に自分自身がやりたい事に気づいた」系のお話って、両親なり先生なり、自分を押し殺す事となった要因に自身の気持ちをぶつけ、理解して貰うっていう所までがセットで、そこが最も盛り上がるポイントじゃないですか。それが、「『親に気持ちを伝えてくる』と言って帰宅」だけで終わったのが残念でした。

完全に個人的な期待でしたが、1話、2話くらい登場せず、仲間がピンチに陥った時に颯爽と見参するっている『イナズマイレブン』の豪炎寺的なムーブをしてくれるんじゃないかと45話を見終えた時は思ったんですよ。或いは、「母ちゃん、納得してくれたんだ。良かったな、シノブ」とツラヌキ辺りが言及してくれると思ったんですよ。

しかし実際は、何の説明もなしに46話の冒頭からシノブは超進化研究所に居ました。常日頃、「自分の予想や期待が叶わなかったからって、その対象をクソだと思わない」という事を信条にしていますが、こればっかりは頂けませんでしたね。せめて周りのキャラが一言言及するだけで良かったのに、それすらなく、さも当たり前のようにハヤト達の輪にいるシノブに驚きましたし、魅せ場がなかった事が残念に思いました。

 

スポンサードリンク
 

 

 

という訳で『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』』の感想でした。

最後グチグチ不満点を綴ってしまいましたが、全体的に大変面白く完走してより一層シンカリオンの事が好きになりました。作画も素晴らしく見応え十分なバトルが毎回見られてととも楽しかったです。

個人的な所感ですが、最終話に物語の序盤で使われていたED楽曲「Go One Step Ahead」が使われていたのが凄い良かったです。他の楽曲も勿論どれも素晴らしいのですが、やっぱり『シンカリオン』のEDといえばコレですからね。最後に聴けて嬉しかったです。

 

さて、ここから2期である『Z』の前に劇場版があります。そのどちらも楽しんで視聴していきたいですね!