一体この人は、何処まで我々に夢を、偉業達成を魅せてくれるのか。これだから佐藤琢磨のファンは辞められない…
毎年、5月の戦没将平追悼記念日の前日に開催される世界三大レースの1つ、インディ500。今年は新型コロナの影響により8月に移動し、無観客で開催されました。あの30万人の観客が生み出す熱狂が見られないのは残念でしたが、一時は開催自体が危ぶまれた事を考えると、例え無観客でも開催された事を嬉しく思います。
さて、今年のインディ500の目玉というと、やっぱりフェルナンド・アロンソでしょう。初挑戦の17年は予選ファスト9入り。昨年は土壇場でカイル・カイザーにひっくり返されて予選落ちと、良くも悪くもインディ界にインパクトを残したアロンソ。来年からF1に復帰する為、トリプルクラウンチャレンジは今年で一旦一区切り。なので、今年に掛ける思いは強かったでしょう。エントリー前にホンダエンジンが使えない等、少々ゴタゴタがありましたが、無事に参戦が叶い、虎視眈々と優勝を狙ってきました。
また、3度のインディ500王者、エリオ・カストロネベスや、05年の覇者トニー・カナーンの姿も見られました。45歳同士のベテランコンビ(厳密にはTKの方が年上)の躍進も楽しみでした。
その他、レギュラーシーズンと同様、琢磨選手を筆頭にエリクソン、ローゼンクビスト、パロウ、オワード達に期待していました。F1に居たり日本での出走経験のあるドライバー達です。まぁ応援する理由なんてそんなものですよ笑
そんなワクワクで迎えたインディ500。
予選で琢磨選手とパロウがファスト9に入りましたね!
個人的に琢磨選手のフロントロー獲得は予想外でした…。確かに調子は良さそうでしたが、ここまでとは思ってなかったので。
それにしてもパロウが凄すぎます。一応ルーキーなんですよ?彼。去年までSF走ってたんですよ?トラブルでPPは獲れませんでしたが、ポテンシャルが垣間見られただけに、決勝に期待がかかりました…!
そしてインディ500では不運が付きまとうアンドレッティ家の血を引くマルコのPPには琢磨選手やパロウの躍進より驚きました笑。いつも「マルコ以外のアンドレッティ勢が好調」という不名誉な展開が多いですからね。応援する人が増えたなぁ…と思いながら決勝の日を待ちました。
そして決勝。
ここ最近恒例になったF1とのバッティングが無く、時間の潰し方に迷いましたね笑。しかも放送開始は例年より遅めの2時。悩んだあげく、『半沢直樹』を見てから仮眠を取って視聴に望みました。無事に起きれて良かったです笑
スタート前、アメリカ国歌と共に歌われる「Back Home Again in Indiana」を聴くと、インディ500が始まるんだなぁと感じますよね。今年も季節は違うとはいえ、遂にこの時が来た…!と身が引き締まります。
パレードランにてペースカーを運転したのは、18年デトロイトレース2でクラッシュした当時副社長(現:社長)という小ネタを挟みつつ始まった第104回インディ500。グリーンのタイミングで国際映像が乱れるという驚きの開幕を迎えました笑
PPスタートのマルコが下がり、逆にディクソンがトップに立ち、加えてハンターレイやロッシがポジションを上げた最序盤。琢磨選手も彼らに習い、しっかり上位をキープしており、偉業達成に向けて幸先良い感じでしたね。
いきなり社長がサスを壊し周回遅れになったり、デイビソンのホイール(ナット?)が壊れたり、8位走行中のエリクソンがクラッシュしたりと決して落ち着いた、平和な展開ではありませんでした。
ですが、流石はインディ500覇者達。ディクソン、琢磨選手、ロッシの3人は、そんな不安要素なんて露知らず、ガッツリ上位を固め周回を重ねました。何もなければ、この中からインディ500、2勝目を挙げるドライバーが現れるんだろうなぁと思っていました。安定性を見ても、今年の流れを見ても、ディクソンが勝つだろうと思った人は多いと思います笑
そんな中、推してたパロウがクラッシュしてしまいました。スタート直後こそ順位を下げたものの、9位走行中だっただけに悔やまれます。でも速いのは予選からずっと魅せていましたもんね。来年への期待がより大きくなりました。
で、そのクラッシュによるコーションで多くのドライバーがピットに駆け込みました。
そこで事件が。
オワードと琢磨選手が並んでピットアウト(微妙にオワードが前)しようとしたところに作業を終えたロッシも乱入。なんとそこで琢磨選手と接触してしまいました。
互いに大きなダメージはありませんでしたが、ロッシに対してアンセーフリリースの裁定。お陰でロッシは優勝戦線から離脱する事になり、更にそこから巻き返そうと焦ってしまいクラッシュを喫してしまいました。これでロッシは2年連続ピット作業に泣かされる事になりましたね。無念。
パロウのクラッシュの前、唯一ディクソンに対抗出来ていたロッシがいなくなった事から、これでディクソンの独走により拍車がかかるんだろうなぁ…と思いました。開幕3連勝でしたっけ、そんな偉業を成し遂げていましたし、今年はディクソンイヤーだなぁと何処か達観している自分がいました。
しかし、そんな諦めの気持ちを投げ捨てさせたのが我らが佐藤琢磨選手。No Attack No Chanceを体現するが如く、果敢にディクソンに勝負を仕掛けました。
直線スピードはありつつも燃費&リスタートに不安がある琢磨選手。一方、ダウンフォースが多く、コーナーは速いものの最高速が物足りないディクソン。43歳と40歳のベテランが魅せる闘いは、絵面的な激しさは無いものの見ていて痺れる、とてもクリーンかつ渋いバトルを繰り広げていました。
琢磨選手が前、ディクソンが後ろという、いつもの琢磨選手のレースとは違う展開だったので、これまでとは違う緊張が走りましたね笑。TKやキンボール達の19位争いがバックマーカーになった時の心拍数は凄かったです。「頼むから譲ってくれ…。余計なことはするなよ…」と祈るように見ていました笑
最終的に、ピゴットのクラッシュによるコーションが解除されないままチェッカーという微妙にアンチクライマックスな結末でしたが、それでも勝ちは勝ち。我らが佐藤琢磨選手は、史上20人目のインディ500マルチウィナーとなりました。
おめでとうございます!!!!!
また牛乳を飲みリングを指に付ける琢磨選手が見られるなんて思ってもみませんでした。今回はグリコポーズもしていましたね笑。「嬉しい」なんて言葉では足りない程、本当嬉しいです。
思えば、3年前の初制覇の時はとても衝撃的なレースでしたね。エリオとの死闘は文字通り手に汗握るもので、祈るように画面を見つめていた思い出。
「さぁ行け!さぁ行け!もう行け!」
「神よ…」
これらの実況は今でも頭から離れません。
それくらい3年前のレースは記憶に残る、素晴らしいものでした。
それに比べ今回は、ある意味では琢磨選手らしくないレースでした。先頭に陣取り、巧みにディクソンの猛攻を凌いでいく…
いつものイケイケドンドン攻撃特化型の琢磨選手の姿は見られず、とても冷静に良い意味での「守りのレース」をしていました。その為、3年前のような「うおおおおおおお!!!」という興奮はなかったものの、「凄いものを見ている(静観)」といった不思議な感覚を得ました。
実況陣も言っていましたが、何処か勝つのが当たり前のように感じてしまっていた自分が末恐ろしいです。インディ500に出走出来るのだけで凄いですからね?そして次に完走があって、そこまでして始めて優勝が来ますから。
いや~、本当凄いですよね…。夢だったものを当たり前にしていく琢磨選手。この流れをリアルタイムで感じられるのは恐らく幸せな事なのでしょう…
仮に、あのままノーコーション、或いは赤旗からリスタートだったらどういう結果になったかは正直分かりません。レイホールがディクソンを抜いたかもしれませんし、琢磨選手がクラッシュしたかもしれません。
ですが、スポーツにタラレバはNGというのは百も承知。最初にチェッカーを受けた人が勝者なのです。個人的には、レイホール1-2かなと思いますが、現実は琢磨選手、ディクソン、レイホールの順番ですからね。仮の話をしても意味がありません。はい。
琢磨選手以外に目を向けると、ニューガーデンやオワードが光りますよね。
ずっとイマイチだったペンスキー、並びにシボレーエンジンユーザーが5位と6位の場所まで上がってきたのは素晴らしいです。予選で下位に沈んだエリオが11位というのも嬉しいところ。来年も走って欲しい…!
逆にローゼンクビストやアロンソは空気でしたね。完走出来たのは良いことですが少し残念です。
カーペンター社長は13周遅れでチェッカーを受けれましたね。良き良き。
という訳で今年のインディ500の感想でした。
3年前とはまた違う展開で栄冠を掴んだ琢磨選手には、言葉にならない程嬉しい気持ちが溢れます。
それにしても、この人は一体何処までファンに夢を見せてくれるのでしょうか…
このままエリオ達の3勝…いや、AJフォイト達の4勝という大台に並ぶ事も不可能ではない気がします。そんなあり得ないような夢をひょっとして彼なら…?と思わせてくれる琢磨選手のファンで本当に良かった。改めてそう感じるレースでした。
これからも琢磨選手の応援を、より一層していこうと思います!!!