エフライの感想記

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感想《2021 F1 最終戦(第22戦) アブダビGP》これほど興醒めする終わり方があったのか…。ライコネン&ジョビナッツィ&ホンダラストレース。

これはモータースポーツではありませんね。少なくともスポーツではない。絶対。

先日、白熱のF12021年シーズンの最終戦、アブダビGPが開催されました。同点で迎えたタイトル争いに、ホンダラストレース。そして、忘れてはいけないライコネンのラストレースと色々な思いが交差するグランプリでした。レイアウトが微妙に変更されるのも相まって、ドキドキとワクワクが入り混じって迎えた週末、日曜日でした。

 

 

(審判)の前には全てが無力

 

「セナプロやシューマッハとヒルのように接触でタイトルが決まるのかな?」や「でも、脅しかけてるからどうなるのかな…?」等と、不安と期待を持って迎えた最終戦。予選は、フェルスタッペンがQ2タイヤロックし、ソフトスタートを強いられる事になりつつも鬼神のアタックでPPを獲得しました。

そして、タイトル争いを繰り広げているハミルトンは2位。これはもう、バチバチのレースが見られると期待するわけじゃないですか。

しかし、現実はそう上手く行きませんでした。

ESPNによるだいぶ恣意的な切り抜きですが、このフェルスタッペンの特攻すら可愛く見える出来事が起こったのです。

 

それは54周目に起こった、ラティフィのクラッシュから起因されたものでした。

このクラッシュにてSCが導入。後ろと十二分に差があった2位走行中のフェルスタッペンは、タイヤ交換を行いました。対するトップ走行中のハミルトンサイドは、フェルスタッペンのマージンがあまり無かった事でタイヤ交換を行わないという決断を行いました。まぁこれはよくある事なので別に問題はありません。

ただ、問題はここからの運営(審判員)のジャッジなんですよね。

SC先導チェッカーを良しとしない風潮のお陰か、1周だけの超スプリントレースが開催されました。これもまぁ特に問題はありません。コース上は安全でしたしね。なら、何が問題なのか。それはSCを解除する手順でした。

通常、SCが導入されると、周回遅れのマシンはラップバックする事が認められています。しかし今回は、最初はラップバックを禁止する指令が下っていました。「そんな事をしていてはSCランでレース終了になる」。きっと審判サイドはそう考えたのでしょう。これはハミルトンの間に何台が周回遅れのマシンがいるフェルスタッペンに不利な裁定でした。

しかし、そこから僅か数十秒。急にバックマーカーのラップバックが認められました。この時点で頭の中が混乱状態なのですが、ラップバックが認められたのが「ハミルトンとフェルスタッペンの間のマシンだけ」という事で、更に「?」が頭上を駆け巡りました。正直冷めましたね。エンターテイメントを重視した裁定でしょうけれど、あまりにハミルトンが不利でつまらない、訳の分からない判断です。

 

これにより、履歴の浅いタイヤを履いたフェルスタッペンは、容易くハミルトンをオーバーテイク。

これにて21年シーズンのタイトルはフェルスタッペンの頭上に輝く事になりました。

 

いやぁ…。別に自分はフェルスタッペンファンでもハミルトンファンでもないんですけれど、あまりにも後味の悪い結末だったと思いません?

勿論「フェルスタッペン、チャンピオンおめでとう!!!」と手放しで言いたいんですけどね。如何にも「フェルスタッペンにタイトルを獲らせよう」、「王者決着を直接対決で決定させよう」とする運営の意図が強く感じられる残念なシーズンの締め方だったように感じます。

おまけにホーナーはこんな事をほざいていますしね。ここまで嫌悪感を覚えるタイトルの決着は15年以上のF1観戦歴で始めて見ました。まだ(リアタイで見ていませんが)90年の決着の方が良かったですよ。または08年でも。接触して決着の方が何万倍もマシと思える決まり方でしたね。マシだけに()。

 

こんなアホみたいな判断をするカテゴリーが世界最高峰のモータースポーツ何でしょうか。胸糞悪い締まり方です。「ラップバックを全員に認める」。或いは「赤旗中段してインディカーのように数周追加してウルトラスプリントレースを開催する」。または「SC先導のまま終了」etc.etc.今パッと思いついただけでも「1位と2位の間の車のみラップバックを認める」なんて判断よりマシなものが出てきます。一瞬で色々判断しなくてはいけないという運営側の事情も分かります。でもさぁ…これはないよ…と強く思ってしまいます。アンチクライマックスなタイトルの決着方法でした。

 

また、このトンチンカンな判断によって、栄冠を失ったハミルトンは勿論、3位だったサインツに優勝を争う権利が与えられなかった事が理不尽に感じるんですよね。「優勝争い=タイトル争い」という図式の先頭争いに、彼が首を突っ込んだかと言えば恐らくNoでしょう。しかし、これが最終戦でなければ、サインツだろうが誰であろうが、きっとトップを獲りに行った事でしょう。その権利を「最終戦だから」という理由だけで取り上げて良いのでしょうか。インタビューや表彰台でサインツが笑顔を見せていたので良かったですが、「俺だって優勝したかった」等という感情を持っていても可笑しくありません。運営は不味い前例を作ってしまったなぁと思います。

 

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個人的殊勲賞

 

最終的には2位だったものの、レースの大半を支配したハミルトンは減点する所のない素晴らしい走りをしたと言えます。残念ながら神の手によってタイトルは獲得出来ませんでしたが、蹴り出しの悪いミディアムタイヤでホールショットを獲った集中力の高さは彼の末恐ろしさを感じました。来年も続けるか不安定な状態になってしまいましたが、個人的にはまだまだ乗り越えるべき壁として君臨して欲しいですね。

精神ボロボロの状態でキッチリインタビューに答え、フェルスタッペンを讃えられる彼の人間性は凄い。

う〜〜〜ん。無理だ。自分には出来ない笑

ハミルトンって凄い人なんだなぁと改めて認識した一幕でしたね。

 

また、上で少し言及したサインツも良いレース運びをしたと思います。5位スタートの3位フィニッシュですから、今のフェラーリを思うと上出来過ぎる結果ですよね。この結果をもってノリス、ルクレールとのランキング5位争いを制する事となりました。正直、フェラーリ移籍の文字を見た時は「ミックが育つまでの繋ぎだな」と思ったのですが、ここまで奮闘するとは思ってもみませんでした。来年、マシンが良ければ久々のスペイン国歌→イタリア国歌の流れが聴けるかもしれませんね。

 

予選でガスリーに完勝し、決勝も表彰台まであと1歩という4位に滑り込んだ角田くんの活躍も眼を見張るものがありました。予選Q3こそベストラップがトラックリミットに引っかかるミスがありましたが、週末通じてガスリーに勝てたのは素晴らしい事です。

VSCの結果、新品ミディアムを履いたアロンソが襲いかかってくる恐怖を中古ハードで凌いだ時点で、彼の好成績は保証されたようなものですね。最後のボッタス、ガスリーとの死闘を制したのも高ポイントです。出来ればサインツも抜いて欲しかったですけれど、流石にそこは強欲。表彰台は来年に期待しましょう!

 

今季何度目かのパンクに見舞われ、4位を逃したノリスですが、予選3位決勝7位と自身の持つ速さは証明出来た気がします。パンク祭りが開催されていない中でのバーストですから、流石に気の毒になる不幸体質ですね。前半戦が良すぎただけに、スパ、或いはソチからの悪い流れを断ち切れないままシーズンが終わってしまった印象です。ですが、眼を見張るほどの速さを持っている事は確実なので来年こそ初優勝を飾って欲しいですね!

守りたい、この笑顔。

結果的にスタートミスだったとはいえ、ノリスがホールショットを決めた世界線も見てみたい。

ブレーキテスト、やって欲しかったな笑

 

ハミルトンをライオンのようにディフェンスし、最終的には邪魔にならないようにとリタイアをしたペレスも殊勲賞ものの働きをしたと言えるでしょう!

というか、DOTDはハミルトンか角田くんかペレスか、というレベルで光っていた走りを魅せてくれました。ずっと2ndとして微妙な立ち位置でしたが、最後の最後、ここぞ!という場面で最高の仕事を果たしてくれましたね。終わり良ければ全て良し。そんな印象を彼に持ってしまいます。来年はペレスもタイトル争いに加わって欲しいですね。そうなると絶対面白い事になりますよ笑

 

今回の個人的殊勲賞は以上の5人です。最終戦という事で各々多様なプレッシャーがかかる場面でしたが、夫々素晴らしいレースをしたと思います。彼らの来年の走りが待ち遠しいですね。

 

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その他

 

我が推しで今回がラストレースだったライコネンですが、残念な結果に終わってしまいました。

ライコネンにしては珍しいスペシャルカラーのヘルメットで臨んだレースだったんですけどね。

FP2で決勝の前フリかと錯覚するようなクラッシュを喫すると、

決勝はブレーキトラブルによりリタイアを余儀なくされました。本人は特に気にしていなさそうですが、ファンとしては入賞は無理でも完走して欲しかったですね。残念です。フェラーリ2期ラストレースもトラブルでリタイアでしたし、ロータスは背中の手術で途中離脱していましたし、ザウバー最終戦はクラッシュでしたし、有終の美を飾れない傾向が強いですね。まぁ「速いけど不運」というライコネンらしい締まり方だったのかな、と思います。悲しいですけどね。

 

で、相方でコチラも一旦のF1ラストレースとなったジョビナッツィ。彼はライコネンにあやかった特別ヘルメットにてレースに臨みました。

自身より、引退する同僚に花を持たせる粋な計らいを魅せるナイスガイ。しかし、そんな彼もライコネン同様、トラブルにてチェッカーを迎える事なくレースを終えました。

最終レースをWリタイアで決めるアルファロメオの信頼性よ。

「市販車と同じかよ」とツッコミたいですね。

 

これからの

これ。

遅いだけでなく信頼性にも問題があるとは救いようがないですね。特に今回は両ドライバーラストレースだっただけに残念です。

このスペシャルリバリーは好きだったんですけどね。結果が伴わなくて悲しい。

 

ワールドチャンピオンという素晴らしい結果を最終的には持ち帰れたフェルスタッペンですが、正直このレースに限ってはイマイチでしたね。Q2でミディアムタイヤを壊し、決勝でもソフトスタートにも関わらずハミルトンに先行を許し、その後もいっこうに追いつけない。降って湧いた好機を逃さず仕留めたのは流石ですが、ラッキー要素が大きな要素を占めていたのは事実でしょう。

今回も序盤でミサイル未遂、ファイナルラップで疑惑の蛇行と、お世辞にもキレイなレースをしていたとは言えませんでしたし、個人的には「何だかなぁ」という印象を持ったレースでした。規則が大きく変わる来年、ディフェンディングチャンピオンとしてどのような走りを魅せてくれるか楽しみです。ダーティな走行は見たくないですが、多分無理だろうな…

 

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角田くんに話題を全部持ってかれたガスリーでしたが、予選12位からの決勝5位はアルファタウリに乗る者と考えると素晴らしい働きをしました。11位スタートのアロンソと2人ぼっちのハードスタートで少々心配していましたが、結局抜けないレイアウトであるここでは最適解だったのかもしれません。中継には映りませんでしたが、ボッタスや角田くんとの戦いは凄かったですね。これは来年も躍進に期待出来そうです。

 

ガスリーと同じくハードタイヤ発進を選択したアロンソ所属するアルピーヌですが、アロンソが11位から8位、オコンが9位スタートからハミルトンと同じ戦略を取り9位フィニッシュと2台揃っての入賞を果たす、好成績を残しました。アルファタウリの4位、5位からすると些か見劣りしてしまう結果ですが、それでもW入賞は素晴らしいものです。オコンは最後、ハミルトンと同様にキツイ抑え込みを強要されましが、きっちり遂行する事が出来たのが凄いです。コンストラクターズランキングもアルファタウリの前で終われましたし、結構良いシーズン閉幕を迎えられたのではないでしょうか。

 

そんなアルファタウリやアルピーヌと対象的に沈んだ閉幕となったのが、フェラーリのルクレールとメルセデスのボッタスですね。

前者は、ジョビナッツィのストップによるVSCでタイヤ交換を行ったのが運の尽きでしたね。アロンソやガスリーも同じタイミングでピットインしていますが、1番割を喰ったのが彼でした。結果10位と入賞ギリギリでしたし、何ならパンクしたノリスより下でゴールですからね。持っている速さを考えると逃したポイントは少なくないと思います。まぁ彼に関しては、今年は厄年でしたね。来年に期待です。

後者は、スペシャルカラーのスーツで挑む気合の入れっぷりだったんですけどね。

スタートで後方に沈んだ後、上位争いに顔を覗かせる事なくメルセデスラストランを終えました。いくら抜けないコースとはいえ、残念感が凄いですね。ペレスが2ndとして素晴らしい働きを行っていただけに、「うーーん」と思ってしまいます。

彼は来年、アルファロメオに移籍します。そこでどう暴れてくれるのか待ち遠しいですね。

 

予選15位から11位と入賞まであと一歩だったベッテル。10位スタートから12位に終わったリカルド。13位発進から同じく13位フィニッシュのストロール。19位から完走した中では最下位の14位だったミック辺りは特に印象に残る事がありませんでしたね。淡々と走っていた印象です。まぁトップ争いにラストレース組に意味不明なジャッジにと良くも悪くも見どころが多いレースでしたからね。多少は仕方ありません。ですが、欲を言えば、リカルドには入賞して欲しかったですね。ココ最近はノリスと遜色ない走りをしていただけに、少しばかり物足りない結果でした。

 

ウィリアムズの2台は悲しい閉幕でしたね。

ラストレースだったラッセルは、マシントラブルにてリタイアを強いられました。

ライコネンといいジョビナッツィといいラストラン組に当たりの強いレースでしたね。

Mr.Saturdayの異名を持つ彼でもQ1落ちを喫しましたから、このマシンとコースは絶望的な組み合わせだったのでしょう。といっても、完走という有終の美を飾って欲しかったですけどね。それでも、3年間ロマンのある良い走りを魅せてくれました。メルセデスに移籍する来年が楽しみですね。

 

ラティフィに関しては…。先程綴りましたしサラッとで良いですかね。予選こそラッセルを負かす良い成績を残しましたが、決勝では結果的にチャンピオンの行方を左右するクラッシュを演じてしまいました。前述の通り、ホーナーが余計な事を口走る程のね。

まさか17年のF2時代からの伏線だったとはね。

という冗談は置いておいて、あのコーナーではライコネンがFP2でクラッシュしていましたし、結構難しいコーナーなのでしょう。昔、ピケJr.がチームから指示されて実行したクラッシュゲートのような意図的な匂いは自分には感じ取れませんでした。

なのにこんな荒れようですからね。

Tsunoda'dとかいう余計な発言が生まれた時(メキシコGP)もそうでしたが、なんでこうなってしまうんでしょうね。各自、攻撃的な発言はしないよう気をつけましょう。特にホーナー。貴方です。

個人的に、ラティフィには08年のグロックの面影を感じてしまいますね。思わぬ形でタイトル争いに加担してしまう引きの悪さ。そんな嫌な属性が13年の時を経て彼に付与された気がします。こんな声に負けないで来年頑張って欲しいですね。批判した人々を見返す程の大躍進に期待です。

 

最後にマゼピンですが…正直残念でしたね。

まさかの決勝直前にコロナ陽性が発覚し、レースを走る事なくシーズン閉幕を迎えました。

当人は元気そうで一安心です。決勝までに何かしらのセッションで走行していないと駄目だったので、今回ハースは代役を立てられずにミック1台体制で決勝に臨みました。

一応、FP1にてウィリアムズからエイトキンが出走していたので、彼に代打を頼もうと思えば可能でしたけどね。特にメリットもないですし、チーム間の繋がりもないですしで実現しませんでした。ルール上は「どのチームで」という記載がないので、その気になれば多分エイトキン出走出来ましたよね?実現して欲しかった気もします。

それにしても、エイトキンの回復力は凄いですね。

スパ24hか何かで大クラッシュし骨折していた筈ですが、僅か数ヶ月でF1マシンに乗れる程に回復していました。アスリートのフィジカル半端ないですね。初出走がラッセルの優勝を結果的に奪う事となったサクヒールGPなだけに、もう一度くらいチャンスを与えて欲しいですね。

 

コチラはテストに参加する為に来ていたオワード。

今年のインディカーの走りが印象的だっただけにF1に来てくれるなら有り難いですね。

 

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まとめ

 

という訳で最終戦の感想でした。作為的で劇的な、白ける幕引きのレースでしたね。「ホンダラストレースありがとう!」とか「フェルスタッペン初タイトル!!」とかで、問答無用にエモくなるかと思いましたが、正直全然そんな気分にならない後味の悪い最後でした。個人的には、誰が王者かというより決まり方に拘っていたので、SC出動からの一連の流れは萎える他ありませんでしたね。

ライコネンはリタイアですし、ノリスはパンクするし、ルクレールはフェラーリ特有の謎戦略で沈むしで、角田くんの好成績やサインツの表彰台に救われた1戦でした。

さて、これにて長かった21年シーズンも終わりです。

全22戦なんて長いななんて思いましたが、あっという間に感じてしまいますね。最後はグダグダでしたが、1年を通して見どころが多く楽しかったシーズンでした。来年はどんなレースが見られるのか今から楽しみです!

 

 

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