エフライの感想記

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総評《頭文字D 1st Stage (1期)》藤原拓海と86トレノが織りなす公道最速伝説。その序章の出来は一昔前とはとてもじゃないが思えない…

つい先日までYouTubeにて無料配信していた『頭文字D』(イニシャルD)の1期こと1st Stage。モタスポ好きながらキチンと視聴した事がなかったので、この機会にと一気に全26話を完走しました。今回の記事は、そんな公道レース作品への感想です。20年以上前の作品に対して今の感性にて感じた事をぶつけていくので、ご考慮下さい。

 

先ず、この1期で描かれた概要を綴っていきます。全26話を通じて描写されたのは「藤原拓海の走り屋としての覚醒」だと言えるでしょう。

中学生時代から家業である豆腐屋の配達役として車の運転をしていた主人公の拓海。そこで磨かれたテクニックは凄まじく、今で言う「なろう系」の主人公のように、公道レース界で名前を轟かせている走り屋達を尽く打ち負かしていきました。レースを重ねていく内に、以前までは仕事の一環として淡々とこなしていたドライブに面白さを見出し、走り屋として一皮剥ける気配を覗かせる。そういったところまでが1st Stageにて描写されました。

 

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そんな1期に対して自分は「『中学生の時から運転していた』だの、『下りオンリーとは言え、ハチロクでスポーツカーを負かす』だの、エンタメ要素が強く現実味が薄いのは否めないものの、それを感じさせない程バトルが熱く出てくるキャラも良い」、という感想を抱きました。

相手が強くなったり変則な相手が出てきたりする中、次第に公道レースに前のめりになっていく拓海の姿勢には好感が持てましたね。普段ボケーっとしている彼がハンドルを握ると良い意味で人が変わる。そして、他人に興味が無いようで実は情に厚い。こんなキャラ、嫌いになる理由がありません。下手すると「『俺TUEEE』な作品」と評されがちな主人公最強設定を、このような拓海の"良いヤツ感"で紛らわそうとし、実際に成功している例を自分はあまり知りません。なので、『頭文字D』は、批判されがちな主人公最強設定にも関わらず人気を博したのだろうと思いました。

 

また、拓海に関わらず、周囲の人も良い人ばかりなのがこの作品の好きなポイントです。

親友である武内樹(イツキ)は、愛するべきバカキャラとして地位を確立していますし、拓海の父親の文太やその友人の立花裕一(ガソスタ店長)は、大人組として暖かく拓海達現役走り屋を見守っています。そして、池谷先輩ら秋名スピードスターズの面々は、頼れる先輩として拓海らと店長の間を取り持っています。彼ら主人公組の信頼できる仲間感が素晴らしいですよね。「そりゃ彼らの為なら拓海もバトルに参加するわ」と納得出来る面々です。

 

そんな好意的な味方サイドのキャラが多い中、個人的に唯一の不満点は、ヒロイン役の"茂木なつき"なんですよね。

事前情報でクラスメイトの父親と如何わしい関係を持っている事は知っていましたが、第1話からその描写があるとは予想外でした。しかも、1話以外にも度々匂わせるシーンがあるにも関わらず、拓海と何か良い感じになっているんですよね…

自分はそう思いませんが、『タッチ』のヒロイン、朝倉南に対して「男を乗り換えた!」と批判する意見があるらしいのですが、普通に『頭文字D』のなつきの方が酷いですよね。これを是と捉える人は居るんでしょうか…。池谷先輩やイツキの悲恋なんかより、なつきの思考回路が気になります。まぁ分かりたくはありませんが。

1st Stageの中でこの援交爆弾は爆発しませんでしたが今後が怖いですね。この辺りの結末がどんなものになるかはなんとなく知っているので、どのように映像化されているのか気になる、っていう程度ですけれど。

 

あ、16話にて流れた、池谷先輩へ向けられた真子のあの発言は、中々に攻めてる発言でしたね。流石はヤングマガジンに連載されていた作品だけあるな、と思いました。『頭文字D』はクルマ好きな子供にも人気がある作品なので、なつきの援交や真子のバージンあげる発言は、数年後に意味を知り納得するパターンですね笑。個人的には、その伏線回収感が好きなので特にNoを突きつけませんが、親御さんによっては嫌悪感を抱きそうですね。

 

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次に本作の目玉であるバトルについてです。

主人公である藤原拓海は、1st  Stageにて、FD乗りの高橋啓介、GT-R R-32乗りの中里、シビック EG6乗りのデンジャラス慎吾、シルエイティ乗りの真子と沙雪、シルビア S14乗りのケンタ、FC乗りの高橋涼介とのバトルを演じました。

この戦う順番も素晴らしいですね。コミック版からは変更しているようですが、このアニメの順番の方が個人的には好きです。「最初に倒したライバルの親玉がラスボスとして立ちはだかる」。そんなある意味ありがちな構成ですが、王道は面白いから王道なんですよ。バトルの勝ち方にご都合主義感を一切感じなかった訳ではありませんが、それ以上の熱いバトルや「まさか!」と感じられる必殺技を見られたので、非常に満足しています。多少の粗をもろともしないパワーを作品から感じましたね。CGも、2022年の現在から見て違和感が少なめですし、相当気合を入れて制作していたのが分かります。そりゃレースシーンが長くなるのも納得です。

 

戦ったライバルの中では、R-32使いの中里が1番好きですね。「リアサイドについてるRのバッジは、不敗神話のRだ!」や「しまったァア 肝心なところでアンダーを出しちまったぜっ!!」、「いってーな… また板金7万円コースかな…」等と、迷セリフもない訳ではないですが、車やドライビングについて真摯に向き合っている姿勢を感じる事が出来たので個人的にお気に入りのキャラとなりました。デンジャラス慎吾と共に、拓海と涼介のバトルの決着がついた3車線ゾーンで観戦していたのも推しポイントですね。

その他にも、拓海の力をいち早く実感し認めていた高橋兄弟や同じくほぼ最初から好意的だったシルエイティ乗りの2人と、ライバルキャラに魅力的なキャラが多い作品です。本当、なんでなつきはああなった…

 

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という訳で、『頭文字D』1st Stageの感想でした。

20年以上前の作品に関わらず、今見てもストーリー、CGクオリティ共に高く、世代問わず一般的に名が知られているのも納得な作品でした。既に消されてしまっているので再確認する事が出来ませんが、2つのYouTubeチャンネルにて配信という再生回数的には伸びなさそうな配信体制にも関わらず、それぞれ最終話まで30万再生以上あったので、改めてこの作品の持つ人気やパワーを実感しましたね。

今回、初めて1st Stageを見た事で、来年放送予定の新作『MFゴースト』が非常に楽しみになりました。それまで、Final Stageまでを見て『頭文字D』を味わい尽くそうと思います!忙しくなりそうですね!笑