エフライの感想記

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感想《天気の子》新海誠監督の最新作。好きな人の為にどこまで犠牲を払えるか

大ヒットを記録した『君の名は』から早3年。新海誠監督による最新作、『天気の子』が公開されました。公開から約1ヶ月経ったところでようやく鑑賞出来たので、その感想です。

 

圧倒的な背景の作りこみ!

 

この作品の見どころとして上がられるであろうポイントとして、背景は外せないでしょう。自分は6月に初東京というくらい関東には疎いですが、街の描写が細かくとてもリアルっぽかったです。アニメ作品は「ここ一番!」となるシーン以外の背景は割とザックリしていることが多いので、この細かさには驚かされました。『君の名は。』を劇場で見なかったので、この作品で大スクリーンに映る街模様を見て『君の名は。』も映画館で見れば良かったな…と少し後悔。

 

数ある背景シーンの中で一番のお気に入りは花火大会のシーンです。カメラワークも相まって見ていてとても引き込まれました。『のんのんびより』の映画の花火も凄いなぁと思いましたが、正直それ以上だったと思います。本当に綺麗でした。

 

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カイオーガさん、仕事しすぎ!!

 

さてストーリーについてですが、ぶっちゃけるとコレ。

怒られそうな気もしますが、ポケモンが脳内を支配(言い過ぎ)している自分にはこのように感じました。だって特段の理由なく東京を襲う大雨と一時的に晴れに出来る天候操作能力を持ったヒロインですよ?カイオーガvsグラードンみたいだなと思っても仕方ないじゃないですか。

 

まぁそんな冗談は置いといて。

この作品の「世界秩序と好きな人、どっちを取る?」という問いにおいて、「例え世界の形が変わったとしてもヒロインと一緒に生きていたい」という答えを出したのは良かったと思います。普通こういう物語だと「好きな人も世界も、どっちも救ってやる!」だったり、「好きな人を取ったらなんやかんやでオールオッケーな感じになりました」的な事になる場合が多いですからね。主人公がヒロインを選択し、その代償をちゃんと払うというのは珍しい気もします。ぶっちゃけ個人的には世界とヒロインどっちを選んでも良かったのですが、ちゃんと選択した事に意味があると思います。例え創作物でも有耶無耶は良くない。

 

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帆高くん色々やらかしすぎない?

 

帆高が世界と陽菜を天秤にかけ後者を選んだ事で、3年間休む間も無く雨が降り『はいふり』前日譚みたいな世界になった事への是非は別に良いとして、いくらなんでも帆高くんが犯した罪が多いと感じました。

 

無計画に東京に来て揉め事を起こした事。銃を撃った事。警察に色々と刃向かった事。線路を走った事…etc。「どれだけ酷い茨の道でも好きな人を第一に。例えそれが社会に反する事でも」という事を表現するためとはいえちょっとやりすぎでは…と感じました。最後の登場人物軒並み逮捕劇は、大人組も"やりたい事をやりました"という事を表すためでしょうが、それならちゃんと全員のその後をフォローすべきだと思います。

 

何が言いたいかというと、「夏美のその後が描かれていない事」が不満だという事です。親権は取れなかったものの新たに事業を開始(再開の方が近いかも)した菅田さんや先輩含めた当時の子供達はともかく、就活をやっていたり菅田さんの事務所からの離脱と見せかけて在籍継続のフラグを立てていた彼女はどうなったのか。前科が付いたため、まともに就職が出来るとは思えませんが、菅田さんに雇ってもらったんですかね?うーん、気になる。

 

まぁ、夏美の事は置いとくとして。この帆高が色々とやらかしていくのには『フォルトゥナの瞳』を彷彿とさせましたね。あの作品は、色々とやらかした主人公が最期、命と引き換えにヒロインを守るという締めを持って来ましたが、『天気の子』は主人公はしっかり罪を償って、新たなスタートを迎える。というラストを迎えました。正直、『天気の子』を見ている時、「これ主人公死んだりしないよな…」たら考えてしまったのは内緒です。だって途中までの展開がそっくりでしたからね。上手いこと再スタート路線に入り、ギリハッピーエンドにしたのは良かったと思います。

 

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不必要な事はとことんカット

 

まぁタイトル通りなんですけど、この作品は色々な事をバッサリカットした作品でもあったなと思いました。それこそ帆高が家出した理由とか、家出時点での資金の出処。陽菜の父親の存在といった如何にも物語の根幹に関わりそうな部分を軒並みカットしたのは随分思い切ったな、と。

この作品において、帆高のバックグラウンドは殆ど描写がないわけですよ。島で一体何があったのか。本人の口から語られたとはいえ本当の事は不明です。その為、主人公に共感し辛いわけですよ。「帆高、頑張れ!!」と思う気持ち7割、「結局帆高ってどんな奴なんだろう…」と思う気持ち3割。といった感じになりました。まぁ昔のことなんかより未来の事を語ろうぜ的なスタンスだと仕方ない事なんですけどね…

 

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多少の不満

 

帆高の過去や夏美の事の他にも色々と「あれ?」と思った事はあります。

前半の男子学生2人が発見した謎の水たまりの存在意義や帆高を救う為、陽菜さんがやったのがソーラービーム的な何かではなく電撃を用いたトラック爆破だった事等、「これ必要だったのかな?」とか、「なんでこれ?」と感じるシーンがあったのもそうですが、個人的な1番はまた違うところです。

 

それは、ラストの帆高と陽菜が手を繋ぐところです。せっかく帆高は手錠を片方かけられているわけですから、『千と千尋の神隠し』的な落下をしている際、もう片方の手錠を陽菜にかけ「もうお前を離さない!」と叫ぶのがお決まりでしょうよ。それをしないなら梶裕貴さん演じる警察官が手錠をかけた意味が正直ありません。勿論、手錠を解くにはルパン的な技術がいるのは百も承知ですが、せっかくのフィクションです。手錠をこういう使い方をしても誰も咎めないと思います。

また、指輪も大して役に立たなかったのも不満点の一つですね。せっかく指輪を強引にはめ、ギャルゲーで言う選択肢をミスった描写があるわけですから、その逆をラストに持ってきてなんか良い感じ(適当)にする事も出来たはずです。多分最終的にあの指輪は再び陽菜の指に戻ったと思いますが、そのシーンを是非とも見たかった…

 

まぁこの不満も監督が「俺はその表現、好きじゃないんだよね」と仰ったら、「すみませんでした!!!」としか言えないんですけどね。

 

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まとめ

 

というわけで『天気の子』の感想でした。

『君の名は。』のヒットもあり、「どうすれば売れるだろうか」以外に色々とあったハードルや困難、制約を上手く掻い潜って作り上げた作品だなと感じました。登場人物全てが悪人っぽくないよう扱われていたりと、なるべく特定のキャラにヘイトが向かないよう配慮されており絶妙なバランスの上で成り立っている印象です。まぁそれでも帆高が行った犯罪のオンパレードがなあなあで済まされ、実家の島では大した騒ぎになっていなかった事はパワーバランスを見誤った感がありますけど。まぁ全体的に「考えるな、感じろ」という作風なので突っ込むのも野暮ですかね。

 

『君の名は。』メンバーのカメオ出演や東宝映画に関わらず登場した初代プリキュアの2人(コスプレ)にメップル、ミップルの妖精組。そして『このすば』のアクアとちょっとしたファンサービスも良かったですね。彼らは大雨の中、キチンと生きられたんですかね?特に三葉は入れ替わりやら隕石やらなんやらで大変な思いをした後にやって来た東京で今度は大水害とか目も当てられない事態になっちゃってますが…。お払いに行くべきですね。

 

まぁ、三葉の事はドンマイという事で、ラストは名セリフで締めたいと思います。

 

(カップラーメンは)

2分が美味いんだよ、知らないの??

 

天気の子

天気の子